大雨や洪水といった災害対策に加え、発電などを目的として建築されるダム。日本には約3000ものダムがあり、最近では迫力ある放水や建築の素晴らしさから観光スポットとしても人気が高まっています。
有名なのは富山県にある「黒部ダム」ですが、実は竹田市にもダム好きを唸らせる美しいダムがあるんです！
それが「白水ダム」。
大分むぎ焼酎のCMロケ地になり、全国的に話題を集めたダムは「日本一美しいダム」や「ダムの女王」「森の貴婦人」などと称されています。
そこまでベタ褒めされるダムとは一体！？ 期待に胸を膨らませて車を走らせてきました！

繊細で優美。知ってるダムと全然違う！

豊後竹田駅から、細い山道をくねくねと車で走ること約25分。到着した先に待っていたのは・・・

あれ、小さい！？

そうなのです、「白水ダム」は高さが約14m、幅は約87mという小さな石造りのダム。1938年（昭和13年）に阿蘇の外輪山を水源とし、竹田市と豊後大野市緒方町の用水を目的として建築されました。正式名称は、白水溜池堰堤（はくすいためいけえんてい）と言います。
（日本の河川法では高さが約15m以上をダムとしているため、実際にはダムではないのだとか！）

黒部ダムのようにドーンと大迫力のダムを想像していると拍子抜けしてしまいますが、近づいてみるとその美しさにハッとします。

流麗なカーブを描く壁面に沿って流れ落ちる水は美しく、まるで白いレースカーテンのよう！「日本一美しい」と言われるのも納得です。

さて、なぜこのように一風変わったダムができたのか、気になりますよね。

その理由はダムが建設された現場の地盤にありました。
ダム周辺の地盤は弱く、通常のダムのように上から水を勢いよく放出すると周囲に危険を及ぼすと判断されたのです。そこで設計者は水がなだらかな曲線を描いて流れ落ちるように設計することで、水圧を抑えるという独特の工法を取り入れました。
さらに！右岸と左岸とで異なるデザインを採用！ 左岸（堤防を正面に見て右）は階段状になっており、右岸は「武者返し」という上に向かうほど反り返る構造で、水の速度を落としています。

さらにさらに！
全国でも珍しい石造りのダムは、ダムの表面にブロック状の石を配置。そこに水があたるとしぶきで白い泡となり、見惚れるほどに美しい表情をみせるようになっているのです。

森の中でこれほどまでに計算し尽くされた建築を手がけるなんて・・・設計者さんすごい！

そんな「白水ダム」は、2000年（平成11年）に大分県を代表する近代化遺産として国の重要文化財に指定されました。

対岸で異なる景色にも注目！

さてさて、どれだけ美しいかを聞くと、実際に行きたくなりますよね？
車を走らせる前に、ダムをどちら側から見たいか確認しておきましょう。
実は「白水ダム」に向かうには2つのルートがあるんです。

ダムは右岸と左岸とで道が異なります。右岸方面で行くと、ダムの上から白水ダムを見下ろすことができ、左岸方面のルートを選ぶとレースのように流れる水の様子を見上げることができます。

どちらの景色も見たいところですが、ダムは横断することができません。車で向かっても大回りとなるため、どちらの風景から見たいかを先に決めておくのがおすすめです。

また2022年6月中旬までは溜池の改修工事が行われており、期間中の越流は停止されています。

しかし今の時期だからこそ石造りのダムの姿を見ることができるので、建築に興味のある方はぜひ♪

紅葉や新緑も美しい名所として知られる「白水ダム」。
森の中に静かに佇む女王のもとへ、お出かけしてみてください。