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おおいたをたのしむ

2022年01月28日

深耶馬を盛り上げたい!
地域と本気で“協働”するゼミ

「わが学部自慢のゼミをぜひ皆さんに知ってほしいです!」と、今回レポーターを務める学生さんたっての希望で、とあるゼミの活動におじゃますることに。一体どんなことに取り組んでいるのか、現在そのゼミに所属する3年生の学生さんにインタビューしてきました!

今回レポートしてくれたのは…

板井佳穂(かほ)さん

板井 佳穂 かほ さん

大分大学経済学部4年生。大分県臼杵市出身。
ご自身が3年生の時に受けた山浦陽一先生の集中講義で、中津市 耶馬溪町 やばけいまち での活動に強い感銘を受けたそう。 深耶馬 しんやば という地域のことや学生の活動について伝えたい、と今回取材してくれました。

今回おじゃましたのは

深耶馬商店会×大分大学「田舎で輝き隊!」

大分大学経済学部の山浦陽一先生のゼミ。
農山村でのフィールドワークの中で、学生が主体となって住民とともに地域の課題解決に取り組み、2018年度から中津市 耶馬溪町 やばけいまち 深耶馬 しんやば にある「深耶馬商店会」と連携。地域活性化と学生のスキルアップを図っています。

現在このゼミに参加している学生にインタビュー

大川美加瑠(みかる)さん

大川 美加瑠 みかる さん

大分大学経済学部地域システム学科3年生。長崎県出身。
実は人前で話すのが苦手だという大川さんですが、苦手なことを克服するべくこのゼミでたくさんのことにチャレンジしている努力家!

  1. 「田舎で輝き隊!」って一体どんなゼミ?

    深耶馬を盛り上げたい!地域と本気で“協働”するゼミ
    板井さん(以下、板井)
    私は昨年の山浦先生の集中講義に参加したのですが、ゼミの活動については詳しく知らないので気になって取材にきました。ぜひいろいろと教えてください。
    大川さん(以下、大川)
    はい、よろしくお願いします! 新緑や紅葉、奇岩などの名所として「耶馬溪」は有名ですが、深耶馬商店街の存在をご存じない方も多いと思います。山浦先生のゼミ、通称「田舎で輝き隊!」は、深耶馬商店街に所属する「深耶馬商店会」の皆さんや中津市役所、中津市観光協会とさまざまな活動をしています。
    板井
    私が参加した時は、商店街にあるそば店を紹介するマップづくりをメインに携わりました。
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    大川
    そうだったんですね! そば店を知ってもらうツールとして大活躍でしたよ。「深耶馬商店会」に所属しているお店は全部で10店舗あり、そのうち8店舗がおそば屋さんなんです。
    商店会では、集客や商店街の存続を課題に取り組んでいますが、後継者不足や過疎化や高齢化などの大きな問題も抱えています。そこで私たちに何ができるのか日々模索していて。
    深耶馬を盛り上げたい!地域と本気で“協働”するゼミ
    板井
    そもそも大川さんがこのゼミに参加したきっかけはどんなことだったんですか?
    大川
    大学でなにかやり遂げたというものがなくて、ゼミで自分自身の強みを見つけたかったんです。特に山浦先生のゼミは現地に足を運んで実際に経験を積むことができますし。身になることをしたかったんです。

    深耶馬をもっと気軽に立ち寄れる観光地にしたい!

    板井
    深耶馬での活動についてもう少し詳しく教えてください。
    大川
    深耶馬商店街の景観を観光地として発展させたい、ということを大きなテーマに掲げて活動をしています。今まで観光地としての意識も低く、商店会メンバー同士でのコミュニケーションが図れていなかったんです。毎月定例会を開いているのですが、若手の50~60代の方がちょっとずつ参加してくれるようになって、景観維持の一環として遊歩道の整備などの課題が具体的になり、やるべきことが見えてきました。それで昔釣り堀だった場所を、掃除をして休憩所に整えたんです。ベンチをつくったり、看板もつくったりと、積極的に進めました。
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    板井
    学生が商店会の方たちをまとめ、つなぎ役になることは簡単ではないですよね。
    私がそばマップを製作したときも、地域の方から挙がってきた希望や意見をまとめるのはすごく苦労しました。考え方も立場も違いますし、地域の方には守ってきたこれまでの歴史を担う責任もありますし。学生が地域にかかわるというのは大事だけど、連携というのは本当に難しいと思います。
    大川
    学生の力で発揮すべきことは、マンパワーや体力的な面、学生ならではのアイデアを出すことが大事だと考えています。ですが、地域の方々の意欲が湧かないと意味がないので、お互いに納得できて、地域の方から「これがやりたいから手伝ってくれないかな」といった流れにするのが理想的だな、と。
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    板井
    地域の方から具体的な活動や提案が出てくるような流れを学生がつくることも目標なんですね。
    これまでの活動で特に印象に残っていることはどんなことですか?
    大川
    深耶馬商店会のインスタグラムを昨年から始めたんです。紅葉シーズンにお客さんが耶馬溪にたくさん来てくれて、深耶馬商店街のことも知ってもらえるように情報発信をして、ゆくゆくは深耶馬に定期的に来てくれる人や、人手不足を補ってくれる人たちも呼び込みたいという狙いもあります。インスタは学生が一から商店会の皆さんにレクチャーして、今は率先して発信してくれるようになりました。
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    板井
    インスタは学生が更新しているのかと思っていました! 地域の方がやっているんですね。
    大川
    最近では商店会の女性の皆さんが店ごとに花手水(はなちょうず)を飾って景観整備にも協力してくださって。そのこともインスタに更新していました。お客さんからの評判も、地域の方々の反応もよかったです。花手水の整備はそのあとも継続してくれていて、嬉しくなりました。
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    板井
    地域の皆さんと一緒に進めつつ、のちのち学生がいなくても自走できることを見据えて活動しているんですね。
    深耶馬商店街の課題はどんなことがありますか?
    大川
    やっぱり人手不足ですね。私たちが今考えているのは、観光地として維持するために、通年で楽しめる魅力づくりなんです。新緑や紅葉以外の時期もそばを食べに立ち寄ったり、景色を見に来る観光客が増えるように、オールシーズンで盛り上がっていけたら、移住者が増えたり、若者が戻ってきたりという可能性もあると思うんです。
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    板井
    高齢化や過疎化などの解決のために外の力に助けてもらうことも必要ですよね。
    大変なことも多いと思いますが、だからこそ身にしみて感じる達成感もありますよね!
    大川
    そうなんです。学生が思う理想が地域の方たちにもしっかり伝わって、私たちが知らないところでも地域の方たちが動いてくれている、そんなふうに今までの積み重ねがつながった瞬間を感じると嬉しくなります。
    深耶馬を盛り上げたい!地域と本気で“協働”するゼミ
    板井
    活動が理解してもらえて、同じ気持ちで取り組んでもらえた証ですね。
    最後に、大川さんが感じている深耶馬商店会の魅力についておしえてください。
    大川
    やっぱり「人が温かい」ことです。ここに足を運んで、深耶馬の方々の強い思いにふれて、今抱えている課題を解決するために皆さんが時間をつくってくださる姿を見ると、もっと力になりたいという気持ちになります。
    大学の外に出るといろんなことにふれることができて、このゼミでなければ出会えなかった人たちとつながって、自分にないものを周りの人たちからたくさん学べて、刺激を受けて、自分の経験値が上がっていることは間違いありません。将来社会に出ていくうえで絶対に生きていくだろうなと感じています。貴重な経験ばかりですね。
    板井
    私が参加していたときと比べて、皆さんの真剣さが増したように感じました。地域を守りたいという思いが一層強くなったのかなって。今日は奥まで見ることができたような気がします。
    大川さん、お忙しいところありがとうございました!

    大川さんにお話を聞いたあと、少し定例会にも参加させてもらいました。

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    2021年12月10日の定例会

    毎月10日に開かれる定例会に向けて、学生は学校で何度も打合せを重ね、地域の皆さんと実のある会議になるよう下準備をして毎回臨んでいます。
    この日は「地域の魅力を再認識し、観光地として持続するためのサイクルをつくるためには」という議題で話し合いが行われていました。
    「来年度もこの動きを止めないためにも、本業の傍らで発展させるためにどうするのか」「お客さんが通年来てくれるような魅力と仕組みをつくることが大事なので、そのことをもっと話していきたい」など、活発な意見が飛び交いました。

    Kaho’s impression

    そばマップ製作のプロジェクトに参加して一年後にこのような形で耶馬溪に帰ってくることができて大変嬉しかったです! 学生の皆さんの真剣な表情がとても印象的でした。私もOGとして深耶馬商店会の活動でお手伝いできることがあれば、ぜひ携われたらと思っています。

深耶馬商店街の発展のために学生たちは本気です。地域の人たちと同じ熱量で取り組みたいと思う真剣さと、新しい文化を吹き込んで支えていきたいという強い気持ちを目の当たりにしました。
また学生らしい視点で自分たちの意見を地域の方に自信を持って伝えることができる度胸、精神力の強さに感服しました。
深耶馬商店会とともに活動する、大分大学の“心を動かす”フィールドワークから今後も目が離せません。

耶馬溪の人と暮らしを伝えるウェブメディア

WRITER

  • 牧 亜希子
  • 牧 亜希子記事一覧

    planner/writer。特に大分県の観光情報が得意な自称「勝手に大分県の魅力案内人」。友人からのリクエストで旅行プランを立て、アテンドすることも。 特技/取材や撮影に行くことが多いにもかかわらず、「超」が付くほどの雨女。私の行き先ではかなりの確率で降らせます。取材先の皆様、ご了承くださいませ。

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