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おおいたをたのしむ

2021年11月12日

国内生産量、日本一! 百年続く竹田式サフラン

ここ数年カレーブームが続いていますが、カレー好きの中にはスパイスカレーに「サフラン」を取り入れたり、サフランライスをチョイスしたりと、こだわり派もいるのでは!? 実はこのサフラン、大分県竹田(たけた)市での生産量が国内の約8割を占める、日本一を誇る農産物なのです!
今回は、竹田市でサフラン農家を営む「八世屋(はっせや)」の長谷川暢大(のぶひろ)さん・敦子(あつこ)さんにお会いして、サフランについて教えていただきました。 (お話は敦子さんより)

国内生産量、日本一! 百年続く竹田式サフラン

宮崎県から竹田市へ移住しサフラン農家へ

きゅうり農家として宮崎県に住んでいた長谷川さん一家。暢大さんが有機農業の研修でドイツに行った際、そこで一緒だった薬剤師の方から大分県でサフランが栽培されている話を聞いたことがきっかけで、本格的にサフランを生業とするために大分県竹田市へ一家5人で移住しました。サフランの栽培や加工品をつくって8年目になります。

国内生産量、日本一! 百年続く竹田式サフラン 国内生産量、日本一! 百年続く竹田式サフラン

北海道出身の敦子さんに竹田の印象をお聞きすると「竹田は本当に自然豊か。とにかく水がきれいで野菜もおいしい。古民家で薪ストーブや薪風呂のある昔ながらの暮らしを楽しんでいます。子どもたちも火起こしやお風呂を沸かす手伝いをしてくれていますよ」とのこと。サフランを栽培しながら竹田での3人の子育ては非認知能力を育む絶好の環境だと語ります。
※IQのような数値で図る学力ではなく、生きる土台となる力・心を育むこと

そもそもサフランってどんなもの!?

サフランの名前は知っているものの、パエリアやカレーなど料理で使うことしか知らない人も多いかもしれません。
「球根から茎が伸びて美しい紫色の花が咲き、1つの花から2~3本の雌しべを収穫するんです。それを乾燥させるとみなさんが知っている香辛料のサフランになりますよ」と敦子さんがさらりと教えてくれたのですが、長谷川さんご夫妻のサフランの年間の収穫量は2.5kg。雌しべ100本で1gほどと言いますから、とても繊細で骨の折れるお仕事だということが想像できます。

国内生産量、日本一! 百年続く竹田式サフラン 国内生産量、日本一! 百年続く竹田式サフラン

サフランはスパイスでもあり、漢方にもなると聞いたことがあります。
「サフランは“女性の味方”になってくれる効果をもたらしてくれます。生理痛や冷え性、出産後の滋養を期待して飲んだり、竹田市では風邪の予防として、お茶やペットボトルの水にサフランを2、3本浮かべて、日常的に飲む人も多いですよ」とのこと。さらに「いつも使っている化粧水に入れるだけでも美肌効果が高まるようで、古来、クレオパトラも愛用していたと言われているんです」と、気になるワードがいっぱい! ぜひ試してみたいものです。
そんなサフランですが、どんなふうに栽培しているのか、実際に見せてもらいました。

国内生産量、日本一! 百年続く竹田式サフラン

土、水、日光なしで育つ! 百年続く竹田オリジナルの栽培法

案内された栽培場所は四方を暗幕に囲まれたスペース。ここで約10万個の球根を管理しています。たいがいの植物や野菜には光合成がマストだと理科で習った記憶がありますが…。「土も水も日光がなくてもサフランは育つんですよ」とのこと。球根から咲くチューリップやヒヤシンスも水をあげますよね??
「海外ではイランが主な生産地で、そこでは乾燥した場所での露地栽培なんです。日本は梅雨があり湿度も高いので、室内の暗所で開花させる方式を確立していきました。それが“竹田式”と言われる百年前から続いている栽培方法なんです」。

国内生産量、日本一! 百年続く竹田式サフラン

1903年に吉良文平という人物がサフランを竹田に持ち帰り、独自の栽培方法を編み出して百年もの間、竹田市で継承されているというから驚きです。
日光を遮ることで植物がより光を求めてまっすぐ上に伸び、雌しべの退色を避けることができるので、より高い品質のサフランが出荷できます。
また雑草が生えにくくなるので収穫もしやすく、栄養分が雌しべに集まるので、より大きくて太い、赤い雌しべが育つというのが竹田式のメリットです。

国内生産量、日本一! 百年続く竹田式サフラン

サフラン農家のルーティーン

サフランは一年に一度だけ収穫する作物。年間スケジュールは、

  • 5月~夏休み前までに球根をトレーに並べ、直射日光の当たらない風通しのよい場所に球根を保管
  • 10月 芽が出て、10月中旬~11月ごろに開花
  • 11月 雌しべの収穫
  • 12月 球根を土に植え、育てる
  • 5月 球根を掘り上げ、選別、根っこの処理

という流れで育てます。10月中旬から11月に10度以下の気温になると開花し、収穫を迎えるこれからが繁忙期です。
ほかにもサフラン栽培の傍ら、きゅうりやとうもろこし、ハーブなどの野菜も手掛けています。12月から春にかけては、サフランの加工品の製造をはじめ、敦子さんはキムチの製造販売も。さらに地域の子どもたちに勉強を教える公文の先生までこなすスーパーお母さん。敦子さん、多才すぎます。

国内生産量、日本一! 百年続く竹田式サフラン

サフランをもっとたくさんの人に伝えたい

敦子さんは竹田市内の小学校で、毎年3年生の子どもたちにサフランを知ってもらうための出前授業を担当。実際に栽培の様子の見学にも来てもらい、五感を使ってサフランにふれて興味を持ってもらう機会を設けています。「授業の最後に必ず“今日知ったサフランのことを、おうちの人や県外の親戚の人たちにも話してあげてね”と伝えています。一定の消費者にしか流通しないサフランは、大分県内でも竹田が日本一の産地ということが浸透していないこともありますが、そもそも国産のサフランの存在を知らない人が多いんです。もっとサフランの魅力を広く伝えていくことと、後継者不足も大きな課題です。息子たちをはじめ、この文化の担い手も育てていけたら」。
竹田市内では、学校給食に月に1度ほどサフランライスが登場。竹田市の自慢のサフランを次世代につなぐために、地域文化伝承のための教育としても取り入れられています。

また秋から冬にかけてのサフランの収穫シーズンにはかなりの人手が必要になる八世屋では、その時期に市内の農業高校の生徒へのアルバイトの募集や、福祉施設へ業務委託をするなど、地域での雇用にも積極的に働きかけています。

国内生産量、日本一! 百年続く竹田式サフラン

長谷川さんご夫妻が育てるサフランは、雌しべをはじめ、人気商品である観賞用の球根やサフランティー、ポン菓子などの加工品があり、竹田市内の道の駅や、大分市内のトキハ系列店で購入できます。またここ数年でネット販売での売れ行きも伸びてきているとのこと。販路の拡大や、お菓子などの新商品の開発、サフランの使い方を広げるレシピなど、これからも多方面で力を注いでいくとのことなので、八世屋のサフラン商品にぜひご注目ください!

国産サフラン商い処 八世屋
住所:大分県竹田市吉田1648
TEL:090-6430-8335
HP:http://hasseya.com

城下町竹田でサフラン定食がいただける「さふらんごはん」へ

竹田市が誇るサフランを、せっかくなら産地で食べてみたくありませんか!? 城下町にある食事処「さふらんごはん」では、竹田市を愛してやまないという店主、野々下寿美子さんが地元産の食材をたっぷり使ったサフランご飯の日替わり定食をふるまってくれます。

国内生産量、日本一! 百年続く竹田式サフラン さふらんごはん

お米を炊く際に、水に浸けておいたサフランを使います。
そうすると…

こんなにまぶしく黄金色に輝くサフランご飯が炊けるのです!

国内生産量、日本一! 百年続く竹田式サフラン さふらんごはん

サフランご飯と並ぶたくさんの小鉢には、優しい甘味の出汁が口いっぱいにジュワっとしみ出す煮つけや、竹田ではよく食べられているというごぼう汁、シャキシャキのサラダ、そしてコーヒーと一緒に出してくれる手づくりスイーツなど、幸せな味がてんこ盛り。サフランご飯とともに、竹田の旬の食材を存分に味わえる定食です。ランチをしながら、サフランのことや竹田の魅力も野々下さんがたくさんお話してくれますよ。

国内生産量、日本一! 百年続く竹田式サフラン さふらんごはん

竹田の城下町散策とサフランをぜひ楽しんでくださいね♪

さふらんごはん
住所:竹田市竹田2105(瀧廉太郎記念館前)
TEL:0974-62-2326(岡鶴堂)
営業時間:11:00~16:00(食材がなくなり次第終了)
定休日:木曜
駐車場:3台

WRITER

  • 牧 亜希子
  • 牧 亜希子記事一覧

    planner/writer。特に大分県の観光情報が得意な自称「勝手に大分県の魅力案内人」。友人からのリクエストで旅行プランを立て、アテンドすることも。 特技/取材や撮影に行くことが多いにもかかわらず、「超」が付くほどの雨女。私の行き先ではかなりの確率で降らせます。取材先の皆様、ご了承くださいませ。

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