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おおいたをたのしむ

2022年08月12日

大学生が取材!化学のチカラで生まれるスイーツ「湯けむり洋菓子店」

別府市の九州横断道路沿いに、かわいらしい佇まいのスイーツ店を発見!どんなお店なのか調査すべく、現役大学生がインタビューしてきました。

今回の行き先
湯けむり洋菓子店

2020年に別府市でオープン。焼き菓子をメインに、可能な限り国産の食材を使ったスイーツを製造・販売。地元の人も移住者も国籍も越えて、誰もが集う洋菓子店を目指して運営しています。

大学生が取材!化学のチカラで生まれるスイーツ「湯けむり洋菓子店」

今回取材したのは…

倉石 真ノ愛さん

倉石 真ノ愛くらいし まのあさん

国東市出身・在住の北九州市立大学4年生。国際関係学科でアメリカ地域研究ゼミを専攻し、主に男女格差について学んでいます。お菓子づくりやカフェめぐりが好きで、ずっと行ってみたかった場所を今回の取材先に挙げてくれました。

今回お話をうかがったのは…

湯けむり洋菓子店 店主 永松奈津子さん

湯けむり洋菓子店 店主 永松奈津子さん

ご主人の転勤で京都から別府市に移住し、夢だった洋菓子店をオープン。前職では京都大学のナノテクノロジーハブ拠点で、技術職員として化学分野の開発や分析の職に就いていた永松さん。その経験を生かし、化学的根拠を活用した新しい視点でお菓子を開発しています。

  1. 別府に一目ぼれ!

    倉石さん(以下、倉石)
    ご主人の転勤で京都から移住して、大分の印象はいかがですか?
    永松さん(以下、永松)
    最初は「転勤かぁ…私は京都に残ろうかな」と考えたんです(笑)。
    ですが、物件探しで初めて別府に訪れたときに、海も山も美しくて、食べ物もおいしくて、一瞬で別府にほれ込んでしまって。仕事を辞めて移住することを決めました。地元の方たちも温かく迎え入れてくれて本当に住み心地がいいんです。温泉もどこに行くか悩むほどあって、別府は最高ですね。
    倉石
    それは大分県民としてすごく嬉しいです!
    仕事を辞めて慣れ親しんだ土地を離れるのは、かなり大きな決断でしたよね。
    大学生が取材!化学のチカラで生まれるスイーツ「湯けむり洋菓子店」
    永松
    大学時代からずっと好きだった化学に携わってきたので、新しい人生もありかな、と。
    もともとお菓子をつくることも大好きで、京都での地域のイベントでお菓子をつくって販売したことがあって。そのときに買ってくれた方の反響がよかったんです。それで、お菓子をつくる仕事もいいなと考えて、夫に相談して実現しました。実は夫のほうが乗り気で、仕事が休みの日は店に立ってくれていますよ。
    倉石
    趣味が仕事になったんですか!協力的なご主人もすてきすぎますね。
    永松
    私の人生、すごく楽しくて。やりたいことをやらせてもらっています。
    大学生が取材!化学のチカラで生まれるスイーツ「湯けむり洋菓子店」

    お菓子づくりは化学の実験にそっくり

    倉石
    前職での経験が今の仕事に生きていることはありますか?
    永松
    直結していますよ! お菓子は化学反応でできているんですから。
    倉石
    えー!!どういうことですか!?
    永松
    お菓子は乳化などの化学現象を利用してつくるところが化学実験と似ているんです。
    例えば、生地が膨らむメカニズムには、卵白などの「気泡の膨張」、「水分の気化」、ベーキングパウダーなどの「膨張剤の化学反応」、微生物などの「酵母の発酵」と4つの方法があって、お菓子を膨らませるには化学的なアプローチが必須なんです。室温や湿度も考慮してつくらないとだめですし、「失敗しそうになったときにどうリカバリーするのか」とか「より膨らませたいときはどうしたらいいのか」など、化学を知っているからこその方法で対応していくんですよ。焼き上がりがきれいにいくかどうかも化学反応をしっかり理解していないとうまくいきません。おもしろくないですか!?
    大学生が取材!化学のチカラで生まれるスイーツ「湯けむり洋菓子店」
    倉石
    なるほど!そういう意味で“化学”なんですね。私もお菓子をつくるときに成功するときもあれば、同じようにつくっても失敗することがあります。実験と同じとは考えたこともなかったです。
    大学生が取材!化学のチカラで生まれるスイーツ「湯けむり洋菓子店」

    大分初!?アイデアが詰まった「湯けむりスコーン」

    倉石
    湯けむり洋菓子店さんの看板商品はどのお菓子ですか?
    永松
    「湯けむりスコーン」と名付けたハワイアンスコーンです。日本ではめずらしいと思います。バナナやいちごなど9種類ほどつくっていて、季節のフルーツも取り入れています。
    大学生が取材!化学のチカラで生まれるスイーツ「湯けむり洋菓子店」
    倉石
    ハワイアンスコーン、初めて聞きました。なぜこの商品をつくろうと思ったんですか?
    大学生が取材!化学のチカラで生まれるスイーツ「湯けむり洋菓子店」
    永松
    ハワイのダイヤモンドヘッドの近くにあるお店がハワイアンスコーンの本場で、私が好きだったんです。種類はバナナとブルーベリーだけで、具材は生地に混ぜ込まれていて、そうするとスコーンによって具材の量がまばらになってしまうんですよね。そこを改良して生地自体にクリームチーズを練り込んで、具材はどれも均等になるように生地の上にトッピングしてオリジナルにしたのが「湯けむりスコーン」です。リピーターの方も増えてきて、自信にもつながっています。ときどき50個ぐらい爆買いされるお客さまもいるんですよ!
    大学生が取材!化学のチカラで生まれるスイーツ「湯けむり洋菓子店」
    倉石
    50個はすごい!永松さんの個性的なスコーンは化学の視点だけでなく、お客さまが食べるときの気持ちも考えられていて感動しました。
    材料は永松さんが選んでいるんですか?
    永松
    オープン当初、地元の方の声を取り入れて商品を作りたいと思い「みんなで創る別府スイーツプロジェクト」という活動を立ち上げて、大分にどんな食材があるのかアンケートを取りました。そこから誕生した商品もあるんです。地元のことは地元の方に聞くのが一番ですね。皆さんの声を参考にして取り入れています。
    大学生が取材!化学のチカラで生まれるスイーツ「湯けむり洋菓子店」

    プロジェクトで誕生した、かぼすを使った「ボスカ」

    永松
    あと大分らしさいえば、お店の看板のイラストを別府市在住のアーティスト、トビイルツさんに描いてもらいました。別府の風景がかわいらしいでしょ?
    大学生が取材!化学のチカラで生まれるスイーツ「湯けむり洋菓子店」 大学生が取材!化学のチカラで生まれるスイーツ「湯けむり洋菓子店」
    倉石
    移住者である永松さんが、こんなにも大分らしさを取り入れてくださっているのが本当に素晴らしいです。

    常にベストを尽くして後悔しない生き方を

    倉石
    永松さんはお仕事の中でどんなことを大切にしていますか?
    永松
    常に100%出し切ることを考えています。後悔をしたくないので。
    そのためにお店のコンセプトでもある「正直である」ことを大切にしています。使用する素材を厳選するのはもちろん、純粋にお菓子をつくるための材料に経費を割いて、お客さまに還元できるお菓子を提供することを大事にしています。
    もう一つ、廃棄を出さないために売り切りのスタイルで営業することにもこだわっています。ロスが出てしまうことは私も悲しいですし、ロスを出してでも数を売って儲かる商売ではなく、売り切る覚悟でやっています。その日の商品が売り切れるまでお店は閉めません。
    大学生が取材!化学のチカラで生まれるスイーツ「湯けむり洋菓子店」
    倉石
    「後悔のないように」という言葉に重みを感じます。こんなにおいしそうで、しかも買いやすい価格設定で、いろんな思いが詰まっていることがよくわかりました。
    永松
    ありがとうございます。
    あとは、いつかお菓子教室をやりたくて。班ごとに分量や材料を変えてつくると、それぞれどんな出来上がりになるのか、ちょっぴり理科の授業のような、化学的なことを一緒に考えるお菓子教室ができたら楽しいなと思っています。このお店が常に何か新しいことを企画する場所でありたいですね。
    大学生が取材!化学のチカラで生まれるスイーツ「湯けむり洋菓子店」
    倉石
    永松さんらしさが発揮されるお菓子教室になりそうですね。ぜひ参加したいです!
    永松
    いつでも遊びにきてくださいね!
    それと、店舗の敷地内にキッチンカーの出店スペースをつくっていて、ここに訪れるたびにいろんな店舗のスイーツやお料理が楽しめるしかけにしているので、今日来てくれているキッチンカーもぜひのぞいてみてくださいね!

    倉石さんは「ハワイアンスコーンは両親と一緒に食べたいので」ということで、真剣に悩んで購入。味の感想は最後に♪

  2. 焼き菓子を買った帰りはキッチンカーに寄り道♪

    国東市「sankitei」 国東市「sankitei」

    日によっていろんなジャンルのキッチンカーに立ち寄ることができるのは、湯けむり洋菓子店のお楽しみの一つ。
    この日は国東市の「sankitei」が営業していました。クレープや季節の果物を使ったパフェが人気ですが、永松さんの推しは甘口と辛口が選べるヤンニョムチキンだそうです♪

    国東市「sankitei」 国東市「sankitei」

    こちらは期間限定の「甘夏パフェ」。ビジュアル、最高ですね。
    フレッシュな甘夏とヨーグルトムース、マンゴーフローズン、カスタードクリームなどが入っていて、混ぜるたびに味わいの変わる楽しいパフェ。「あっさり、さっぱりでおいしー!夏にぴったりですね♡」と、倉石さんもご満悦でした。

    国東市「sankitei」

    「foodtruck sankitei」の販売場所はInstagramをチェックしてみてくださいね!

Manoa’s impression

一つ一つの質問に親身に答えていただき、心を込めてお菓子をつくっていることが永松さんの言葉から強く伝わってきました。
今回の取材で印象的だったのは、永松さんが働く上で大切にされている「後悔のないように」という言葉。私も残りの学生生活、そして社会人になっても永松さんのように後悔が残らないような毎日を過ごしたいと心から思いました。
自宅に帰ってハワイアンスコーンを家族といただきました!さっくりとした歯ざわりにクリームチーズのしっとり感が絶妙で、フルーツの甘みと食感がとてもおいしかったです♡また改めて、おいしいお菓子と永松さんとのおしゃべりを楽しみに、湯けむり洋菓子店さんへ足を運びます。

大学生が取材!化学のチカラで生まれるスイーツ「湯けむり洋菓子店」
湯けむり洋菓子店
住所:大分県別府市石垣西10丁目4番48号
営業日:水・金曜 10:30~売り切れ次第、土・日曜10:00~売り切れ次第
Instagram:https://www.instagram.com/yukemuriyougashiten/

WRITER

  • 牧 亜希子
  • 牧 亜希子記事一覧

    planner/writer。特に大分県の観光情報が得意な自称「勝手に大分県の魅力案内人」。友人からのリクエストで旅行プランを立て、アテンドすることも。 特技/取材や撮影に行くことが多いにもかかわらず、「超」が付くほどの雨女。私の行き先ではかなりの確率で降らせます。取材先の皆様、ご了承くださいませ。

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