おおいたをたのしむ
2022年08月26日
ホンモノレトロで時間旅行しよう 「山田別荘」
大分市内から別府へつながる10号線から少し入った細い路地。
一歩踏み入れると、賑やかな街並みから一変。静かな佇まいで私たちを迎えてくれるのは「くつろぎの温泉宿 山田別荘」。ノスタルジックな建物が目印です。
最近再燃している昭和レトロな雰囲気がなんともいい感じ♡
今回は大分に居ながらタイムトリップできる「山田別荘」を探検します!
迎えてくださったのは4代目女将・山田るみさんとスタッフ・月輪さん。
聞けばこの旅館の始まりは戦後。なんと、建物は92年の歴史を持つとのこと。
時代の流れと共に少しずつ補修を重ね、当時の面影は残していきながら代々受け継がれている建築物です。
入ってすぐの応接間はこの旅館のシンボル。天井も高く、昭和の雰囲気が色濃く残る一室に早くもうっとり♡ここは、どなたでも自由に使うことができます。
山田別荘の歴史と、こだわりのお部屋たち
山田別荘の始まりは、女将の曾おじいさんが家族のために建てた邸宅。住宅としてのお屋敷が少しずつ今の姿へと変わっていきました。
「明治時代は洋風文化が入ってきて建築水準が上がってきた時代で、この建物も和風の伝統建築と融合してできました。天井も高く圧迫感がないのは洋風建築の影響かもしれません。近代建築の本にも掲載していただきましたし、長く残していきたいですね」(山田さん)
お部屋は全部で10部屋。
2階建ての本館には、上の階に和室6畳+8畳の【明礬】、下の階に和室12畳の【観海寺】があります。とにかく広々!
そして本館から西側へ通路を渡ると別館へ。別館は6畳から10畳まで広さも様々。本館に比べると少しカジュアルな雰囲気でひとり旅にも最適。
実際に男女問わず、おひとりさま利用が多いのだとか。
「お部屋はすべて南向きに作られています。昔は周りに高い建物もなかったのですが、年月を重ねて見える景色も変わってくるのでそこも楽しんでいただけたらうれしいですね。うちは狭い一通沿いにポンっと建っているので驚かれる方も多いですが、その分静かで非日常を感じられると思います」(月輪さん)
ちなみに、ここでは朝食サービスも。作っているのは以前イタリアンのシェフを務めていた女将のご主人。美味しい朝食でエネルギーチャージしましょう!
「夜は別府の美味しいものを食べに出かけてみてください。今は、梅園通りが熱いんですよ(笑)。細い路地ですが、韓国料理やラーメン店など美味しいお店が多くて人気の通りです。うちは県外や海外の方が多いので、大分や別府の土地のものをぜひ味わってほしいですね」(山田さん)
貸切も、立ち寄り湯もできる自慢の別府温泉
そして、別府ならではの温泉ももちろん完備。
昔ながらの造りで階段を降りていくレトロな内風呂も広々。タイルの感じも今となってはとってもかわいい♡ステンドグラスの壁は、数年前に閉館したヤングセンターさんから受け継いだものなんだそう。
そして露天風呂も!
スロープを歩いていくと、緑の木々に囲まれた温泉が広がっています。自慢の別府温泉(泉質:ナトリウムー炭酸水素塩・塩化物泉)はトロッとした美人の湯♡宿泊者はもちろん無料ですが、大浴場・露天風呂ともに立ち寄りでご利用できるんです!天然温泉100%、源泉掛け流しのお湯で心も体も元気になりましょ。
便利で新しいものにはない、日本の文化を大切に
どこを見ても趣きある雰囲気がたまらない山田別荘。
「15〜20年前からゲストハウスなどが流行り始めた頃、日本人の生活水準も高くなっていたんですね。露天風呂やベッドがないといけないとか、キレイな洋風文化を好むようになって。でもうちはそうではなくて、畳や日本人の心、日本の伝統を多くの人へ残していきたいなという想いが強かったんです」。
便利で新しいものではなく、日本ならではの歴史や伝統を伝えられる旅館でありたいという信念は、今もしっかりと受け継がれています。
デイユースできる“蔵”
貸し切れるのはお風呂だけではございません。昔は倉庫として使われていた「蔵」を今年リニューアル。お仕事場所や休憩場所として、最大3名まで最長10時間もデイユースできるんです。重厚な扉を開くと、なんともスタイリッシュな空間が。
階段を上がるとソファのあるロフトスペース。プロジェクターもあるので打ち合わせや会議、お友達と映画を楽しむこともできちゃいます。コワーキングスペースとしても最高。お風呂上がりにここでまったり時間を過ごすなど極上の使い方もアリです。
またここでは、時折開催されるイベントもあります。「縁側カフェ」と題して、本館の縁側で「hibinoパン」のサンドウィッチやお茶を楽しむ会や、ワイングラスで和紅茶をいただきながら、しっとりとした夜時間を満喫する蔵でのお茶会も。またお土産品は、以前オオイタカテテでもご紹介した日田・きこりめしの江副直樹さんプロデュース、牧野伊三夫さんデザインのもの。ここでしか買えないものなので興味のある方はぜひ。
どこを取っても余すことなく楽しめる「山田別荘」。これは今流行りの“昭和レトロブーム”などという言葉では決してなく、長く受け継がれてきたホンモノのレトロ。90年を超える歴史と受け継いできた人たちの想いが、旅館の随所に感じられます。少し疲れたら、ちょっとだけ足を伸ばして「山田別荘」で、のんびり時間旅行しませんか?きっと心も体も癒されますよ。
- 別府温泉 くつろぎの温泉宿 山田別荘
WRITER
- 塩月 なつみ記事一覧
かぼすポン酢をこよなく愛する生粋の大分女。美味しいものが大好きで、おなかがすくと途端に不機嫌になります。大分トリニータを中心に、企業や観光、飲食などオールジャンルで取材撮影中!