おおいたではたらく
2024年09月27日
女性が挑む建設業界の新しいカタチ
株式会社 末宗組若手社員
建設業界といえば肉体労働を伴うことが多く、男性が多いイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。しかし、近年では女性の進出も増えてきています。今回はそんな業界を少しずつ変えていこうと奮闘する入社4年目の”せんぱい”をご紹介します
お邪魔したのは、こちら!!
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株式会社 末宗組
https://favoita.com/companies/75
1912年(大正元年)創業。国土交通省や大分県、宇佐市から優良工事表彰を受けるなど、技術力と信頼性が高く評価されています。「技術と信用で郷土の発展を願う」を企業理念として掲げています。
お話を伺ったのはこちらの方。
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- お名前
- 野上 伶奈(ノガミ レナ)
- 所属部署
- 品質管理部
- 入社年
- 2021年
- 出身地
- 中津市
- 出身学部
- 大分県立工科短期大学校 建築システム系
魔法だと思った建設の仕事
現在の職業に就きたいと思った原点を聞いてみると、お馴染みのあの番組がきっかけだったとか?!
「小学校5年生くらいだったと思いますが、テレビ番組『大改造!!劇的ビフォーアフター』を見たんです。建築物がリフォーム前の状態と全く違う姿に生まれ変わる様子を見て、『まるで魔法みたいだ!』と思ったのを覚えています(笑)。当時はただ『面白いなあ』と感じるだけでしたが、歳を重ねるにつれて、次第に建築に関わる仕事をしてみたいと思うようになりました」。
野上さんのお父様も同じ末宗組にお勤めです。やはりお父様の背中を見て育ったからでしょうか?
「実は、父がどんな仕事をしているのか具体的に知ったのは、高校生くらいの時でした(笑)。作業着を着ているのは見ていたんですが、家では仕事の話を一切しないタイプだったので、詳しいことは聞いたことがなかったんです。高校生の頃、初めて建設の仕事をしてみたいと言ったんですが、絶対に無理と言われました。その当時、父の周りに建設業で働く女性がいなかったので、想像すらできなかったんだと思います。でも、反対はされたけど、できるできる!多分大丈夫!っていう、なんか根拠のない自信があったんですよね」。
野上さんは憧れの建設業界へ入るため、まずは大分県立工科短期大学校 建築システム系へ進学しました。授業は就職してから役立つ実践的な内容が多かったそうです。就職を考えはじめた頃、建設でもどの分野に進むべきか迷い始めます。
「建設と一口に言っても、さまざまな業種があります。施工管理なのか、設計なのか。施工管理でも、公共施設を作るのか、一般住宅を建てるのか。そんな中で、まずはいろいろな企業を見てみようと思い、企業説明会やインターンシップに参加しました。さまざまな企業を見て体験していくうちに、住宅よりも公共施設を手がける会社に入りたいと考えるようになりました」。
どこに就職すればいいんだろう…と悩む野上さんに声をかけたのは一番身近なお父様でした。
「大分県内には公共施設の建設に関わる会社がいくつもあります。その中で、どこがいいんだろう…と迷っていました。その様子を見て、父がうちにも一回きて話を聞いてみたらどうだと言ってくれたんです。やはり身近で1番詳しい人なので、一度末宗組にも訪問して話を聞いてみることにしました」。
会社や現場の見学の他に、社長から直接話を聞ける時間があったそうです。
「社長と1対1でお話しする機会をいただき、さまざまな質問をすることができました。実際に入社した場合の仕事内容や、私がやってみたい仕事についても丁寧に聞いてくださいました。話をしていくうちに、入社後の自分の仕事のイメージが具体的に湧き、入社を決めました」。
転機になったBLOCKS
こうして初めて品質管理部の女性社員として入社した野上さん。どんな苦労があったのでしょうか?
「1年目は、何から手をつけていいのかわからない状態でした。周りの先輩方は年齢がかなり離れていたので、先輩たちもこちらに気を遣って、危ないからいいよとか、重たいから持たなくて大丈夫と言ってくれていました。でも、内心では(これくらいなら持てるのに)とか(その作業、私でもできるけどな)と思っていたんです。でも、言わないと伝わらないんですよね。そこで、自分から積極的に話しかけるように心がけました。コミュニケーションが本当に大事だと痛感しましたね」。
日々奮闘する野上さんに社長から『BLOCKS(ブロックス)』へ参加しないかと声がかかります。BLOCKSとは、令和2年度より大分県が取り組んでいる建設産業女性活躍加速化促進事業です。大分県の建設産業が日本で最も”女性たちの能力を発揮できる場所”にするというコンセプトで、セミナーや交流会などが開催されています。
「社長からBLOCKSに参加してみないかと声をかけていただいたんですが、正直なところ最初は全然乗り気じゃなくて、出来れば行きたくなかったんです(笑)。知らない人の中に入っていくのは勇気がいりましたが、せっかく声をかけてもらったので思い切って参加してみました。そしたらめちゃくちゃ良かったんです! 他の会社の女性たちと話すのは、本当に勉強になることばかりで、今会社で抱えている問題について話すと、大体みんな同じことを感じているんですよね。その改善方法も話し合うのですが、問題が解決すれば、どの会社でも女性が働きやすくなると思うんです。大分の建設業全体の課題として捉えて解決し、BLOCKSが女性の建設産業進出を後押しするきっかけになればと期待しています」。
そして、なんと野上さんは雑誌の表紙にも!
「BLOCKSでは成果発表会があり、2021年に私もプレゼンテーションを行いました。その中で、建設業をもっと女性に知ってもらいたい、身近に感じてもらうためにはどうしたらよいかというテーマで、雑誌を作るという提案をさせていただきました。現役の建設女子がリアルを発信するメディアです。その提案が実際に実現したことには驚きましたし、さらにその雑誌の表紙にも登場させていただきました。BLOCKSに参加して、仕事の幅が広がったのはもちろんですが、他の会社の女性とのネットワークができたことは本当に大きな財産だと思っています」。
現在、そしてこれからの夢
「通常の業務は、三次元データの作成や積算、現場の安全をチェックする安全パトロールを行っています。また、人手が足りないときは現場監督を担当することもあります。職人さんたちはみなさんとても優しく、現場でも楽しく働けています。
そしてInstagramなどSNSでの広報活動もしています。社長から若い世代がどうすれば会社に来てくれるだろうかと相談されて、SNSをもっと活用することを提案しました。任せていただけることになり、インスタやYoutube、ホームページも若い方が見てくれることを意識しながら更新をしています。弊社の強みのひとつは、社員の意見をしっかり聞いてくれ、それを実行に移してくれるところだと思います。
事務所を明るい色のインテリアに変えてフリーアドレス制にしたり、女性社員の作業着を変更しました。
BLOCKSの他の女性たちからは、提案を聞いて実行してくれるなんて末宗組がうらやましいと言われるんですよ(笑)」。
将来的には管理職を目指したいとのこと。アグレッシブな野上さんの話を聞いて、会社はもちろん、BLOCKSでも学び続け、建設業界の女性リーダーとして活躍する日も近いのではないかと感じました。
学生さんへのメッセージ
「私は学生時代にあまり旅行をしなかったことを少し後悔しています。時間が比較的自由に使える学生のうちに、ぜひその時間を活かして、できるだけ多くの場所に足を運んでみてほしいと思います。
あとは、インターンシップや企業訪問にも積極的に参加することをおすすめしますね。私の知り合いの中には、1、2社だけを見て入社した結果、自分に合わずに早々に辞めてしまったという話もありました。職場の雰囲気や企業文化は実際に働いてみないと分からない部分が多いです。なるべく多くの企業を訪問して、実際の現場を見ることで感じる部分もあると思います。ミスマッチを防ぐために、ぜひ足を運ぶようにしてください。男性も女性も、ぜひ建設業界に興味を持っていただけたらうれしいです!」。
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美味しいもの、猫、温泉、旅行が好きです。子供のころは久住の大自然の中で育ちました。福岡に住んだこともちょこっとあり。大分の行ってないところ&食べていないものを発掘中。