おおいたをたのしむ
2021年06月25日
驚きが満載! 出会いと五感のミュージアム
「出会いと五感のミュージアム」をコンセプトに、2015年に開館した大分県立美術館「OPAM」。建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞した建築家・坂 茂氏が設計したことでも話題になりましたよね。
一度は訪れた方も多いとは思いますが、企画展や常設展だけではないOPAMの魅力をご存知ですか?
世界的建築家が手掛けたミュージアムには、斬新な発想による楽しい仕掛けが満載なんです!
そこで今回は改めてOPAMの魅力を伝えたい!と、全身でアートを楽しむことができるOPAMの “すごいポイント”を隅々まで調査してきました。
どれだけ知っているかチェックしてみてください♪
1.学芸員さんも驚愕!? 壁一面の窓が開く大胆設計
美術館には国宝や重要文化財など貴重な美術品が展示・収蔵されており、それらの作品を保存するため、温湿度の管理が徹底されています。
つまり、なるべく閉じた空間であることが求められるのですが、OPAMの建築コンセプトは「街に開かれた縁側としての美術館」。
美術館としては異例の、壁一面のガラス扉が開くのです!
アトリウムの道路側(iichiko総合文化センター側)は、全面開閉可能なガラス水平折戸を採用!折戸を開けると外と内とを自由に行き来できるパブリックスペースとなり、美術館は街と一体化した施設となるように設計されました。
とはいえいつも開いているわけではなく、施設としては作品管理が最も重要であるため、折戸が開くのは外の気候が美術館の中の空気環境に近いシーズンに限定!
開ける前には、温湿度はもちろん窒素化合物や二酸化炭素濃度など10項目をチェックし、規定をクリアできた時のみ開くそうです。
5月のゴールデンウィークと10月頃に毎年開けているそうなので、貴重な機会をお見逃しなく!
2.展示室のレイアウトが超フレキシブル
OPAMの展示室は、展示によっていつもレイアウトが異なることをご存知ですか?
美術館1階にある展示室Aは東西南北に、2階の展示室Bは南北に、レールに沿って仕切りの壁が可動する可動展示壁を設置し、展示内容に合わせてレイアウトを自由自在に組み替えることができるのです!
展示室Aは壁を取り払うこともでき、アトリウムとつながった開放的な空間を演出することもできます。まさに坂 茂氏が目指した「開かれた美術館」ですね!
レイアウトをフレキシブルに変化できるため、OPAMだけの特別な展示を見ることができるのも特徴だそうですよ。
3.カフェやショップも自在に可動
館内1階には待ち合わせにも便利なカフェや企画展の限定グッズや大分にゆかりあるお土産物などを販売するミュージアムショップがあるのですが、ここが面白いのがどちらも移動可能ということ!
OPAMではアトリウムや、入り口すぐのスペースで展示やコンサートをすることができるようになっており、それらの展示内容によって、カフェやミュージアムの場所を移動し、空間を作ることができるのです。 折戸が開く時には、カフェをテラスに出して、オープンカフェのように楽しんでいただいているそうです。
4.超贅沢! 椅子も机も全て坂 茂氏デザイン
館内に置かれている机や椅子は坂 茂氏がデザインを手掛けたもの。特に2階のレストランや無料で利用できる「情報コーナー」では、坂 茂氏が得意とする紙管で彩られており、ファンにはたまらない空間となっています。
とってもおしゃれですよねー!
ちなみに2階に上がって1階を見下ろしてみると気付くのがこちら。
ここはインフォメーションなのですが、よ〜く見てください。
なんの形か分かりますか?
・
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答えはクエスチョンマーク!
ショップはSの形になっていて、カフェはC。遊び心がありますよね♪
5.県産素材にこだわって造られた美術館!
施設はほとんど大分県産素材を使って建築されました。外壁や天井に使われている杉材や、日田石を採用した床、七島イ(しちとうい)で作られた畳のベンチなど、至る所に大分県産の素材が使われています。
3階では県産の杉材でデザインされた美しい天井を見ることができます。
大分の伝統工芸である竹工芸をイメージしたかのようなデザインが素敵ですよね。
そしてこちら、写真では分かりにくいかもしれませんが、実は緩やかな曲線を描いているんです。
そのままの木材ではこのように波打つことが難しいため、鉄板を木と木でプレスしているんですって! 天窓から降り注ぐ光と木の香りとのコラボレーションでより神秘的な雰囲気が漂う3階。こちらは無料で訪れることができますので、ぜひチェックしてみてください。
6.2ヶ月に一度変わる常設展が面白い!
美術館によっては年間を通じて同じ常設展を開催しているところもあるそうなのですが、OPAMは年間5〜6回ほど、コレクション展(常設展)を開催しています。
福田平八郎や髙山辰雄など大分ゆかりの作家さんの作品が2ヶ月に一度変わるテーマに沿って展示されているのです。
7月16日(金)からは、「OPAMのにんきもの」と題し、動物の可愛らしい姿に注目した作品や、役者絵、美人絵などOPAMのアイドル的な作品を鑑賞できるそうですよ。
美術館のアイドル・・・気になる!
7.大人も子どもも楽しめるワークショップ
OPAMでは、子どもの頃からアートに親しんでもらいたいと教育普及に力を入れています。
その一環として2階にあるアトリエでは年間を通じて多種多様なワークショップを開催!
触ったり、描いたり、作ったり、五感で楽しむことができるワークショップで、子どもだけでなく、大人も楽しめると好評です。
8.何よりスタッフさんがすごい!
20名のスタッフさんの中には、学芸員さんをはじめ、施設を管理する方や、広報担当の方、エデュケーターと呼ばれる教育普及専門の学芸員さんなど、様々な専門領域を担当する職員さんがいます。
常設展のテーマを考えるのはもちろん、企画展の準備や、展示品の管理、ワークショップの実施、自在に可動する展示室のレイアウトを変えたりするのもスタッフさんの仕事です。
ちなみに私が聞いて一番驚いたのは床下の管理。
天井が高く開放的なOPAMでは床下に空調を設置しており、電気系統も全て床下にあるため、床が外れるようになっています。そのメンテナンスを行うのもスタッフさんなのだとか・・・!
見えない仕事のおかげで、素敵な美術館が保たれているのですね。
さて、いかがでしたか?
「知らなかった!」というポイント、ありましたよね?
OPAMでは、無料で観覧できる展示や、ゆっくり過ごせるカフェやレストランがありますので、ぜひ訪れてじっくり施設の魅力を体感してみてください。
また不定期でバックヤードツアーも開催しているそうなので、美術館の裏側をもっとみたいという方はチェックしてみるのもおすすめです。
2021年夏の企画展は世代を超えて楽しめる「サンリオ展」!
施設の魅力を知ったら、早速お出掛けしてみたくなりますよね。
ということで、学芸員の宗像さんに、この夏おすすめの企画展情報を聞いてきました!
宗像さんが紹介してくださったのは、
2021年7月10日(土)から2021年9月5日(日)まで開催される「サンリオ展〜ニッポンのカワイイ文化60年史」。
© 2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. SP610381
大分県民なら馴染み深いサンリオの展覧会です。
ハローキティやマイメロディなど450以上ものキャラクターを生み出してきたサンリオの歴史や、世界から注目される「カワイイ文化」をどうやって築き上げたのかなど、その成長と発展をキャラクターの原画やグッズ、出版物、映像やアート作品などで紹介します。
「カワイイキャラクターを見るのも良いですが、キャラクター誕生の背景やサンリオの事業戦略も面白く観ていただけると思います」とのことなので、ぜひ夏休みは家族で訪れてみてくださいね♪ その際は坂 茂氏の建築や館内のアートもぜひ一緒にお楽しみください。
- 大分県立美術館 OPAM
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〒870-0036 大分県大分市寿町2番1号
TEL:097-533-4500
開館時間:10:00〜19:00(入館は18:30まで)、金・土曜は20:00まで(入館は19:30まで)
休館日:なし
観覧料:コレクション展 一般300円、大学生・高校生200円、中学生以下無料
https://www.opam.jp/
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大分市出身。見たがり・聞きたがり・知りたがりの“たがり”精神で活動する、好奇心旺盛なライター&宅地建物取引士。不動産会社、出版社に勤めたのち、竹田市地域おこし協力隊として移住者支援を担当。久住の山々と星空が好き。だけど関あじはもっと好き。