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おおいたではたらく

2025年01月10日

大分移住レポート Vol.05
心と体にごちそうを。 家族と地域に生きるUターン移住のカタチ。

「一度大分を離れたからこそ、見えるものがある。都会にはない良さが、ここにはたくさんあるんです」。
18歳まで地元・宇佐で過ごした中島 摩理奈さん。2017年に「&cocochi」ブランドを立ち上げ、エプロンなどのプロデュースをする傍ら、2024年の3月に中津市に「ローカル食堂 アンド・ココチ」をオープンしました。
関西で働く中で、自分がやりたいことは何なのか_。自問自答しながら辿り着いたのは、生まれ育った街で生きること。自分の人生を考えた先に見えたもの、感じたことを胸にUターン移住した想いとは。大分移住5回目はひとりの女性のリアルに迫ります!

自分の好きなこと、やりたい仕事を求めて

大分移住レポートVol.04 心と体にごちそうを。家族と地域に生きるUターン移住のカタチ。

宇佐市出身の中島さん。中津の高校を卒業したのち、兵庫県の大学へ進学しました。最初の就職は保険の営業職。社会人1年生の中島さんは、目の前の仕事に邁進する日々を送っていたといいます。2年が過ぎた頃、自分の本当にやりたい仕事について考えるようになったそう。
「営業職も結果を残せていたのですが、ある時ふと自分の好きなことって何なんだろうと思ったんです」。

一度、仕事ばかりで1日を終える生活から立ち止まり、自分の好奇心を探した結果、ブライダル業界へ転職。プランナーとして入社し、様々な仕事を経験したといいます。
「小さな会社だったので、人手が足りない時は他の部署も手伝う毎日でした。大変でしたが、自分の知らない世界を知ることができたんですね。そこで自分は作り手ではなく、お客様に何かを届けるサービス業の方が好きだなと思ったんです」。

思わぬきっかけから飲食の世界へ

大分移住レポートVol.04 心と体にごちそうを。家族と地域に生きるUターン移住のカタチ。

ブライダル会社の中で一番興味を持ったのが飲食の世界。サービスを提供するという仕事をもっと知りたいと、飲食会社へ挑戦しました。
「楽しかったですが、カフェを経営することの難しさも感じていました。働く時間や客単価を実際にみると、夢と現実の厳しさもありましたね」。
色々なことを勉強する中で厳しさも感じる反面、毎日お客様が足を運んでくれる喜びが大きなやりがいになったと当時を振り返ります。食の世界って奥深いけど、面白い!と感じた中島さんは、ある料理研究家との出会いをきっかけに新規カフェの立ち上げスタッフとして更なるステップを重ねました。
「転職を重ねることに迷いもありましたが、自分が少しでもワクワクする気持ちが向く道へ進もうと思ったんです」。

大分移住レポートVol.04 心と体にごちそうを。家族と地域に生きるUターン移住のカタチ。

当時の中島さん

新たなステージは大阪の中小企業。だからこそ中島さんはカフェ業務や自社ギャラリーの企画運営、作家さんへの交渉など幅広い業務を任されました。
「その会社の代表が、『会社を自分の増幅装置にしなさい。個人でできないことでも、体力のある会社ならできることもあるので、自分がやりたいことをしなさい』という考えを持つ方でした。学ぶことが多かったですね」。
お客様に喜ばれること、地域のコミュニティーになる場所をつくるのがコンセプトだった事業内で、中島さんは大きく成長。その経験が、今の仕事にも活きているといいます。

人生のターニングポイント、家族と地元への想い

様々な仕事を経験してきた中島さんの人生の転機となったのは、コロナウィルスが世の中に蔓延してきた頃。中津市で独居生活を送る祖母と、その家を今後どうしていくかという家庭問題でした。それと同時に、自分の暮らしのスタイルも考えるように。

大分移住レポートVol.04 心と体にごちそうを。家族と地域に生きるUターン移住のカタチ。

「今まで地元を離れて自由に生活してきたけど、このまま賃貸でいいのかな? この先の生活は? と色々思うようになったんです。自分の住処をどこにするのかということにも真剣に向き合いました」。
祖母と祖母の家を守れるのは、エネルギーのある今しかないのではないかと感じた中島さんは、祖母のいる中津市に帰ることを決意。
「長く地元を離れたからこそ見える、地元の魅力がある。大分に還元できることがきっとあるのではないかと思いました」。

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前職で地域のコミュニティとして活動してきたことが、地元のためになるのではないかと思った中島さんの脳裏に過ったのは、 “みんながまだ気付いていない魅力を掘り起こして、それを今の時代にフィットさせて再提案しよう” という前職の代表の思想でした。
「都会でも地方でも、そこに暮らす人が幸せだったらその街は良くなると思うんです。街が活性化されて働く選択肢が増えれば、私のように一度地元を離れた若者への道しるべになるのかなと。そんな役割が自分にはあるのかなと今は思っています」。

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大分に帰り、祖母の家をカフェ&ギャラリーにする予定でしたが、祖母の入院などの理由で断念。店舗探しや金銭的な不安などは大分県のオンライン相談とスタートアップセンターを頼ったといいます。
「お店を始めるとなると当然金銭面などの不安はありました。補助金や予算の使い方など色々教えてもらいましたね。物質的な面のサポートというよりも、話を聞いてもらい、前へ進むための背中を押してもらいました。また、私と同じような移住者でコミュニティーの場をつくる提案などもいただいて、精神的な心の拠り所になったんですよ」。
例え自分で調べて分かることでも、担当者と会話し、導いてもらうことが安心感にも繋がったといいます。

地元のものを、地元の人と。心と体に健康を届ける場所

大分移住レポートVol.04 心と体にごちそうを。家族と地域に生きるUターン移住のカタチ。 大分移住レポートVol.04 心と体にごちそうを。家族と地域に生きるUターン移住のカタチ。

そんな想いから、2024年の3月に中津市に「ローカル食堂 アンド・ココチ」をオープン。大阪時代に出会ったシェフと2人で、地元の野菜の中でも旬の食材を使った和食やフレンチなど、アイデアが詰まった一皿を提供しています。
「大分では当たり前に生産者さんの声が聞けますが、それは関西時代にはなかったこと。シェフの料理人生の中でも、今が1番素材に近い距離で料理できていると思います。そういうところに魅力を感じて一緒に始めてくれました」。

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地元野菜をたっぷり使うこと、食べることの大切さ、心も体も健康になる食事というコンセプトでお店をつくりあげた中島さん。契約農家もSNSで探したり、紹介を受けたりと0からのスタートでしたが、今では多くの農家さんとのつながりが生まれています。
「わかりやすく美味しいものは市場に溢れていますが、食欲を満たすだけでなく口から入れるものの大切さを知ってもらいたいですね。食が好きな人に来てほしいですし、何よりゆったりとした非日常を過ごしてほしいです」。

大分移住レポートVol.04 心と体にごちそうを。家族と地域に生きるUターン移住のカタチ。

店内はオープンキッチン。野菜の調理法など、自由に声をかけてもらいたいといいます。
「そういうコミュニケーションは、私たちの学びにもなるんですよ。今までは地域の人との接点のない生活でした。でも今は、お店でもプライベートでも暮らしの中で商店街の誰かを気に掛けたりと、自分は街と暮らしているんだなと実感する日々です」。
地元で暮らすことで生活や生き方も変わってきたという中島さん。地元を離れ、多くの経験を重ねてきたことで自分の夢を叶えました。そのバイタリティはどこからくるのかと問うと、何事もあまり考えすぎずに動くことが、夢実現のための第一歩だと話します。
「動いた先に必ず課題はあるので、柔軟に動く心を持った上で行動することが大事。行動しないと失敗はないので、その先もないんです。私は〝もっと先に考えた方が…〟と言われますけどね(笑)」。

自分自身が好きなこと、ワクワクする気持ちの先にあるのは自分らしい生き方。どんな時代も成長し続けることで夢を叶えた中島さんと、「アンド・ココチ」のこれからが楽しみです。

大分移住レポートVol.04 心と体にごちそうを。家族と地域に生きるUターン移住のカタチ。
ローカル食堂 アンド・ココチ
住所:大分県中津市上宮永940-3
営業時間:11:30-14:00/17:00-21:00
TEL:0979-64-7565
定休日:月曜日+不定期
Instagram
衣料品 &cocochi

WRITER

  • 塩月 なつみ
  • 塩月 なつみ記事一覧

    かぼすポン酢をこよなく愛する生粋の大分女。美味しいものが大好きで、おなかがすくと途端に不機嫌になります。大分トリニータを中心に、企業や観光、飲食などオールジャンルで取材撮影中!

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