おおいたをたのしむ
2024年10月25日
日々の暮らしに日本茶を。
城下町中津の老舗茶屋 丹羽茶舗
今回ご紹介するのは、中津市で130年続く老舗のお茶屋さんです。
軍師・黒田官兵衛や、慶応義塾大学創設者の福沢諭吉などの偉人で知られる城下町中津の、新博多町という通りにある「丹羽茶舗」は、1893年(明治26年)に創業。なんとも言えない渋い佇まいが歴史を物語っています。建物を見るだけで心躍ります♪
店内に入ると、壁沿いにはお茶や器がずらり。普段使いのものから高級なものまで…そもそも家に急須がなく、お茶を入れる機会もない…作法も知らずにお茶選びをしてもいいのだろうか?なんて思いながら商品をよく見ると、このパッケージですよ。ゆるゆるとしたイラストとデザインに、思わず釘づけになっちゃいました。
「20~30種類ほどのお茶を常時取り扱っていますよ」と出迎えてくれたのは5代目店主の丹羽真一さん。真一さんは広島大学を卒業後、東京の有名和菓子店に就職。店頭販売や新店舗立ち上げの企画、人事部などを経験し、30歳のときに帰郷して家業を継ぎました。現在は事業全般をはじめ、商品開発やパッケージのデザインリニューアルも手掛けているとのこと。
5代目店主 丹羽真一さん
手軽に、気軽に。日本茶を味わう
丹羽茶舗では、京都府宇治産や福岡県八女産のお茶をはじめ、厳選した茶葉や器、道具などさまざまな商品を取り扱っています。中には丹羽茶舗オリジナルのかわいいグッズも。どんなお茶があるのか、紹介していただきました。
丹羽茶舗で特に人気なのは、常連客からも長年愛されているオリジナルブレンドの煎茶“甘露”。福岡県八女産の茶葉で、布で覆いをして育てた「かぶせ茶」を使用。甘みとコクが味わえるのが特徴です。
同じく八女産の茶葉を使用した“玉露”は、煎茶よりも一段上の甘味やコク、豊かな香りが魅力なのだそう。
じっくりとおいしいお茶をたしなむには、日本茶初心者には上級すぎやしませんか…?と丹羽さんにおたずねしたところ、「いえいえ、大丈夫ですよ! 入れ方もお伝えしますし、お茶の入れ方を書いたパンフレットもお渡ししていますので」とのこと。誰でもおいしくいただけるようにサポートしてくださいます!
急須を持っていない方もご安心を! マグカップにお湯を注いですぐにお茶が入れられる丹羽茶舗オリジナルのティーバッグシリーズをぜひお試しください。
「お茶のすすめ」は中津市産の茶葉が味わえる煎茶のティーバッグ。福沢諭吉の「学問のすすめ」をオマージュしたネーミングが中津らしい! ほうじ茶や和紅茶などもあります。「コーヒーを飲むような感覚で、マグカップでお茶を飲んでもらえたらと思ってつくった商品なので、まずはティーバッグから飲んでもらえたらいいですね」と丹羽さん。ちょっとした手土産や、お茶のプレゼントも粋でいいかも!
そんなふうに丹羽茶舗ではもともとある商品をより飲みやすく、使いやすいように積極的に商品開発にも挑んでいるとのこと。最近では大分県産素材とお茶のコラボ商品もデビューしています。
大分市のヤドカリカンパニーがつくる乾燥ショウガを使った「生姜ほうじ茶ティーバッグ」。ほうじ茶とショウガの鼻に抜ける香りと、ショウガ効果でぽかぽか温まる、これからの季節にぴったりな商品。
丹羽茶舗と同じく中津の城下町にあるチョコレート専門店「HARU CHOCOLATE」のカカオハスク(カカオ豆の外殻)とブレンドした「カカオ煎茶ティーバッグ」は、お茶とカカオの風味が絶妙!
そして「マコポン和紅茶ティーバッグ」は、中津市の「おはら果樹園」のオリジナル柑橘「マコポン」の乾燥させた皮と、大分県産和紅茶をブレンドしたフレーバーティー。
大分県産素材とお茶を組み合わせることで、大分の産品と日本茶に注目してもらえる機会をつくりたかったことと、真一さんがこれまでに出会ってきた人とのご縁によって導かれて新たなお茶が完成したとのこと。パッケージもユニークで、思わず笑ってしまう2コマ漫画のシュールなイラスト、惹かれてつい手に取ってしまいますし、気になっちゃいますよね。
そのパッケージデザインも、丹羽茶舗が商品開発と同じように大切にしていることの一つ。「パッケージデザインは、都会には都会の良さがあるけれど、大分や中津には、ここだからこそ合うデザインでつくるべきだと長年考えていて。温かみや味わいのあるデザインが大分らしさを表現できると思いました」と真一さん。そんな思いを叶えるために、イラストレーターの堀道広さんにイラストを、別府市出身のプロダクトデザイナー・高橋孝治さんにデザインを依頼。このお二人とも縁あって形になったそう。
ちなみに、煎茶のパッケージに描かれた武士のイラストはどなたかモデルがいたりするんですか?とおたずねしたところ、「竹田市出身の南画家の
センスが光る展示会も開催
丹羽茶舗にある和室を会場にして、年に6回ほど展示会の催しも。お茶にまつわる茶器をはじめ、アパレルなどの展示もおこなっています。展示する作品のジャンルやテーマ、作家さんをセレクトするのも真一さんで、作家さんには実際に会い、作品を見て、“いいな”と思った作品の展示を企画。大分ではなかなかお目にかかれない作家さんのオーダー会などもあるので、アート鑑賞感覚で足を運んでみてはいかがでしょうか? 展示会は不定期なので、丹羽茶舗のSNSでスケジュールを要チェック。
お茶屋さんのカフェでスイーツを
お茶屋さんでいろんな展示にふれられるだけでなく、お茶のスイーツもいただけるというから、これは見逃せません! 丹羽茶舗の横、市営駐車場を挟んだお隣にあるレトロな建物がカフェスペース「丹羽茶舗喫茶室」となっています。元眼科をリノベーションした素敵な佇まいで、抹茶パフェや抹茶ロールケーキ、季節のメニューなど、丹羽茶舗で販売するお茶を使ったスイーツが味わえますよ。抹茶好きにはたまらない、まさにお茶尽くし! 城下町散策の途中に立ち寄って、ちょっとお茶していきましょ♪(喫茶室の営業は木・金・土のみなので、ご注意を)
お茶を買いに行くだけでなく、お茶の入れ方を習ったり、器を眺めたり、スイーツを味わったり。丹羽茶舗には日本茶へのアプローチがたくさん散りばめられていることに驚かされました。
お茶には格式を重んじる伝統文化の側面ももちろんありますが、「手軽に日本茶を楽しんでもらえるように」という思いを込めて丹羽茶舗が手掛ける空間には、日本茶本来のおいしさを追求しながらも、今の暮らしに寄り添ったもの、そしてユニークな掛け合わせでつくられた商品があり、古を大切にしながら、進化したお茶がいつもと違ったライフスタイルの提案をしてくれます。慌ただしい日常にちょっと一息リフレッシュするなら、ゆっくりと日本茶を入れて飲む時間を取り入れてみませんか。
おまけ
今回の取材で出会った商品でヒットしたのは「ほうじ茶シロップ」でした。炭酸水で割って「ほうじ茶サイダー」でいただくと、ほうじ茶の渋みが爽快にのどを潤してくれる、お茶と炭酸の初めての感覚に感動。リピ確定です。
- 丹羽茶舗
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〒871-0054 大分県中津市京町1530-1
TEL 0979-22-0123
営業時間 9時~18時 定休日:毎週日曜日、祝日
https://niwachaho.jp
https://www.instagram.com/niwachaho/
WRITER
- 牧 亜希子記事一覧
planner/writer。特に大分県の観光情報が得意な自称「勝手に大分県の魅力案内人」。友人からのリクエストで旅行プランを立て、アテンドすることも。 特技/取材や撮影に行くことが多いにもかかわらず、「超」が付くほどの雨女。私の行き先ではかなりの確率で降らせます。取材先の皆様、ご了承くださいませ。
丹羽さんおすすめの煎茶&玉露のおいしい入れ方
熱いお茶がお好みであれば、80度ほどのお湯で入れてもおいしくいただけますが、時間があるときは60度ほどのお湯で2分間じっくり入れるのがオススメ。より味の良さが引き出せます。