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おおいたをたのしむ

2023年01月13日

最高の干し芋が作りたくて農家になりました!
土からこだわる「いもや吉」

みなさん、さつまいもは好きですか? 私は、もちろん大好きです!
寒くなってくると恋しくなる、ほかほかの焼き芋。フーフーしながらかぶりつく瞬間って幸せですよね♪
また、栄養価が高くさつまいもの甘みと食感が楽しめる干し芋も、人気「おいもスイーツ」のひとつ。
今回は、そんなさつまいもを育てる農家さんをご紹介します。

最高の干し芋が作りたくて いもや吉

いもやきち

大分県豊後大野市にある、さつまいも農家。土作りから栽培・収穫・加工・販売に至るまでを一貫して自社で行い、収穫したさつまいもを焼き芋や干し芋にして販売しています。ゆるくてかわいいパッケージのイラストや、栽培・収穫の様子を発信するSNSにも注目です。

今回お話を伺ったのは「いもや吉」の木田きだ 吉彦さん・ちはるさんご夫妻。

最高の干し芋が作りたくて いもや吉

木田 吉彦さん

吉彦さんは岐阜県、ちはるさんは豊後大野市の出身です。
関東で会社員として働いていたというお2人が農家になった経緯や、農家になってみて大変だったことなど、色々とお聞きしました。

最初はピーマンから

サラリーマン時代に吉彦さんが「自分で何かを生み出して生涯現役でできる仕事がしたい」と考えたことが、農業に興味を持ったきっかけだったそう。地方への移住を含め色々と調べていたところ、ちはるさんの出身地の大分県豊後大野市に職業訓練で農業を学べる「大分県立農業大学校」があることを知ります。移住の準備や貯蓄をするため、2年間の準備期間を経て豊後大野市へ移住。1年間ほど農業大学校で学び、農家としての一歩を踏み出しました。

最高の干し芋が作りたくて いもや吉

借りた畑は高台にあり、空気がおいしくて景色もいいとのこと。
畑を見せてもらったとき、あまりにも素敵な場所だったため、即決したんだとか。
「特に朝日や夕日がきれいで、とても一言では表せないほど最高の景色なんです」と、ちはるさん。

豊後大野市がピーマンの産地ということもあり、ピーマンで新規就農したそうです。
ピーマンを育てながらもずっと「お客さんに直接商品を提供できるような農業はないか」と考えていた吉彦さんに、ある出会いが訪れます。

偶然?運命?衝撃的な干し芋

岐阜県へ帰省する際にたまたま立ち寄った愛媛県の道の駅で買った干し芋を食べて、あまりのおいしさに衝撃を受けた吉彦さん。

お客さんに提供できる“何か”を探していた吉彦さんは、このとき「これで間違いない」と思ったそう。
この干し芋を越える「最高の干し芋」を作るため、さつまいも農家になることを決心。
さっそく干し芋について調べ、産地である茨城のさつまいも農家さんから栽培や加工の仕方を学んだそうです。

当時の吉彦さんについて「本当にやるのかな?と思っていましたが、しっかり勉強して帰って来たのでこれは本気だな、と感じました。そこまで本気だったら、私も全力でサポートしようと決めたんです」と、ちはるさんはいいます。

吉彦さんの行動力には驚きです。
そんな、夢に向かって頑張る吉彦さんを応援しようという、ちはるさんの気持ちも素敵ですね。

こだわりの育て方

干し芋の産地、茨城で学んだノウハウを活かしていよいよさつまいも作りが始まります。
おいしい干し芋を作るため、今でもずっとこだわっているのが畑に負荷をかけない土作り。収穫のときに残った葉やツルを畑の中に残さないようにすることと、収穫が終わった畑には負荷をかけないよう1年間休ませてあげることが大切だそう。
土にこだわった分だけ、品質にも表れてくるということですね。

最高の干し芋が作りたくて いもや吉

現在は、2㏊(サッカーコート約2.5面分)の畑を管理しているそう。

やってみないと分からないこと

干し芋を作ると決めてから3年が経った2019年。
何度も試作を繰り返し、ようやく思い描いていた干し芋が完成して販売もできるようになったそうですが、干し芋作りは想像していたよりも大変なことが多かったといいます。
「干し芋って昔は芋農家さんが冬の稼ぎに作るものだったんですね。ビニールハウスで天日干しをしたりして、どこの農家さんでも作っているから誰でも簡単にできるんじゃないかと思っていました。でも、今は昔と違っていろんな機械が必要になるんです。乾燥機なんかもそう。それだけじゃなく、機械を使うので電気代もかかりますし、機械を置く場所も確保しないといけない。やってみて分かったことの方が多かったです」

最高の干し芋が作りたくて いもや吉

乾燥中の干し芋

最高の干し芋が作りたくて いもや吉

3年かけて完成した干し芋

どこで買えるの?

「いもや吉」の干し芋や焼き芋の出店情報はInstagramで随時発信しているそう。
全国の百貨店での催事出店や、オンラインでの販売もあるそうなので、詳しくはホームページまたはInstagramをチェックしてみてくださいね。

最高の干し芋が作りたくて いもや吉

大分市中央町のトキハインダストリー若草公園店の入口での焼き芋販売の様子。
あま~い香りに誘われて、たくさんのお客さんが焼き芋を購入していました。

さつまいもの種類は、現在「紅はるか」と「シルクスイート」の2種類。
こちらの石焼き窯の中は180度がキープされていて、さつまいもをゆっくりコロコロと転がしながら焼いていくそうです。石の表面温度は400度を超えるんだとか!

最高の干し芋が作りたくて いもや吉

焼き芋は下の段で焼いてから上の保温庫へ一時的に移したあと、ショーケースに並びます。

最高の干し芋が作りたくて いもや吉

保温庫で出番を待つ焼き芋

最高の干し芋が作りたくて いもや吉

「いもや吉」で販売している焼き芋の魅力は、ずばり“石焼きならではの焦げと香り”♡
最近は、スーパーやコンビニでも手軽に買えるようになった焼き芋だからこそ、石焼きのおいしさを分かってもらえるように、今でもずっと研究をしているそうですよ。

最高の干し芋が作りたくて いもや吉

ゆるくてかわいいイラストが印象的な紙袋♡
写真を撮ってSNSにアップしたくなりますね!

パッケージイラストやSNSのアイコンは、ちはるさんがファンだというイラストレーターさんにオーダーして作ってもらったもの。
若い世代にも商品を手に取ってもらえるような、やわらかい雰囲気にしたんだそう。

最高の干し芋が作りたくて いもや吉

出荷を待つ段ボールもかわいい!シンプルなだけに、心惹かれます。

ちょっといいこと♡があればいい

とことんさつまいもにこだわる「いもや吉」。
“吉”という文字には、どんな意味が込められているのでしょうか?

大吉ではなくきち。ちょっといいことが起こるような、そんな存在になりたいから。

最高の干し芋が作りたくて いもや吉

「たとえば、家に帰ったときに焼き芋があったらちょっと嬉しいですよね。ケーキほど華やかではないけれど、日常のアクセントになればいいなと思って」と、吉彦さん。

また、ちょっといいことのきちと、吉彦さんの吉が同じ漢字というのも決め手の一つだったんだとか!
なんだか心が温かくなりました♡

おいしい食べ方を教えてください

「焼き芋はビタミンCなどの栄養価が高く、食物繊維が豊富。さらに皮ごと食べられるので、捨てるところがないんです。アツアツの焼き芋はもちろんですが、冷めてもおいしく食べられますよ!ぜひ、皮ごと食べてみてください」と、吉彦さん。

最高の干し芋が作りたくて いもや吉

「紅はるか」ねっとり甘くておいしかったです♡

皮ごと食べられるとは、知りませんでした!
焼き芋をお皿に乗せてラップをかけずに電子レンジで1分~1分30秒ほど温めると、焼き立ての味が再現できるそうですよ。

小腹が空いたときや、おやつにもぴったり!
まさにこれこそ、家にあったら「いいな、嬉しいな」と思える日常のアクセントですね。

やるなら本気で

「やりたいことを思いついたら、まずやってみた方がいいと思います。はじめ、私たちは『農業をやりたい』という気持ちはあるものの、どうしたらいいのか全く分からない状態でした。色々と調べるうちに、“本当にできるのかな?”と不安になったこともたくさんありましたが、実際にやってみたらなんとかなったんです。でもそれは、中途半端な気持ちだったら失敗していたのかもしれません。『やってみたい』と思うことがあるのなら、本気でやれば大体なんとかなるんです。一生懸命頑張っていると誰かが助けてくれたり、不思議と道が開けますよ」

とても心強い言葉ですね。なんだかパワーをもらえた気がします!

これからの「いもや吉」

加工場を新設中ということで、一緒に働いてくれるスタッフを募集する予定があるそうです。興味がある方は問い合わせをしてみてくださいね。
また、今後はさつまいもを使った新たな商品展開も計画しているとのことでした。
芋好きとしては、どんな商品ができるのかとても気になります♡

最高の干し芋が作りたくて いもや吉

これからも「いもや吉」こだわりの味が、たくさんの方に届きますように!

WRITER

  • 日名子 真衣
  • 日名子 真衣記事一覧

    猫とパンを愛してやまないママライター。食べ歩きと写真を撮ることが趣味です!美味しいものを探して、相棒のカメラと一緒に大分県内を旅します。将来の夢は、縁側のある家で猫とのんびり暮らすこと。

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