2004年に中津市でダイハツ自動車九州株式会社が操業を開始した際、私は前職で立ち上げに携わっていました。その完成のタイミングで、ふるさとである大分県に戻って起業することを決心し、電気や自動車のエンジニアの経験を生かして2006年に設備設計の事業からスタートしたんです。現在は自動車工場の生産ラインの設計や企画をはじめ、開発設計や設備保全支援などの技術コンサルティングなど、専門的な技術でさまざまなメーカーを支援しています。

技術部と開発部の二つの部署で事業を担っていますが、少し特徴のある働き方を採用している企業かもしれません。当社はエンジニアそれぞれの得意分野の技術を生かし、自動車などの各企業に出向するスタイルで仕事をしています。中津市にある会社自体はエンジニアのマネジメントをするホームのような存在で、同じ会社に所属しながら全国各地で働く、少数精鋭の“技術集団企業”と自負しています。

再生可能エネルギーを生み出す「青空コンセント」

世界中でカーボンニュートラルの動きが拡大するようになり、再生可能エネルギー自給率日本一を誇る大分県でもエネルギー産業に携わる企業が近年盛り上がりを見せています。バイオマスや水素などさまざまな再生可能エネルギーがある中で、当社は太陽光の分野で製品を開発しています。自然エネルギーを利用する超小型自動車向けの充電装置「青空コンセント」の開発です。その実装に向けて地域活性化モデルの創出にも先進的に取り組み、モビリティーの分野で「エネルギーの地産地消」を推進しています。

「青空コンセント」は、太陽光発電で電気を蓄電して利用するシステムです。再生可能エネルギーを使った完全独立・自立型の小型電気自動車向け充電ステーションは日本初の試みとなりました。小型電気自動車と青空コンセントを利用すればCO2を排出しない、環境に優しい交通システムを確立することができます。また売電が目的ではなく、オフグリッド（太陽光を使って自給自足できる）で停電などの非常時でも電源を確保できる設備なので、災害時などいざというときに役に立つことができ、頼ってもらえるような存在になっていくことが今後重要になると考えています。

小型電気自動車と青空コンセントは、大分県内では姫島村と豊後高田市などで観光客の二次交通やアクティビティーの一つとして現在運用しています。特に姫島村では、交通空白地域における島民の移動手段と、観光客の二次交通の両面を補うために導入しました。姫島村で培ったモデルは、2022年から観光都市であるパラオでも実用化の準備を進めています。今後は交通の不便な中山間地域や離島などにも普及させていきたいと構想をめぐらせているところです。

エンジニアそれぞれの技術が新しいインフラを支える

経営理念に「人なり」という言葉を掲げています。これは私自身がエンジニアだったこともあり、ものづくりが好きなメンバーが集まってくる会社にしたいという夢が創業当初からありました。大量生産からこだわりの逸品が注目される時代となり、これからますますエンジニアの価値が高まっていくと思います。「T-PLAN」というフィールドで活躍するエンジニアそれぞれがメカやソフト、通信、IoTなど、これまで積み上げてきた技術やノウハウと、自社の電気と自動車関連での強みを生かして、複合化された自社製品が新しいインフラとなることを目指し、そんな仲間たちと一緒に社会貢献ができるものづくりをする会社にしていきたいと思っています。

「リーダー」という経験は率先してやるべき

「人生のすべての経験が自分の力になる」と就職活動に関わるアドバイスを受けたことがある方も多いのではないでしょうか。その一環で「リーダー」という役割を受けてみることもおすすめします。たくさんの組織やグループの中で責任を果たす経験があれば、社会人になったときに会社という組織で必ず生かせるときがくるはずです。どんな分野でもいいので、ぜひ自らリーダーを引き受けて、チャレンジしてみてください。