おおいたではたらく
2020年11月13日
三和酒類株式会社若手社員
全国どこにいても出会える麦焼酎「いいちこ」のCMやポスターを目にすると、ふるさとを思い出す! 誇りに思う!! という大分県民の方々、多いのではないでしょうか?! 大分発、全国のファンに愛されるこの商品を始め、多種多様な酒づくりを手がけているのが三和酒類株式会社です。つくり手として奮闘する“先輩”にお話を伺いました。
お邪魔したのは、こちら!!
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三和酒類株式会社
https://favoita.com/companies/449
1958(昭和33)年に創業し、2018(平成30)年で60周年。焼酎をはじめ清酒、ワイン、ブランデー、スピリッツ、リキュールなどの酒類と、焼酎をつくる過程で生まれる大麦発酵液を活用した食品製造も手がけています。
お話を伺ったのはこちらの方。
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- お名前
- 佐藤 貴裕
- 所属部署
- 虚空乃蔵(日本酒製造部門)
- 入社年
- 2011年4月
- 出身地
- 大分県大分市
- 出身学部
- 北九州市立大学大学院 国際環境工学研究科
三和酒類といえば、その代名詞というべき麦焼酎「いいちこ」や、近年の日本ワインブームでも注目されている安心院ワインなどの商品でお馴染みの会社。昭和33年に4つの酒造蔵が集まって「共同瓶詰場」として始まったのが起源です。そして昭和47年にそれぞれ4つあった清酒の銘柄を返上し清酒「和香牡丹」で第二のスタートを切りました。いまなおこの銘柄は、蔵人たちの手で丁寧に醸されています。2020年、この和香牡丹が「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2020」プレミアム純米部門「全国燗酒コンテスト2020お値打ち熱燗部門」で最高金賞を受賞するという嬉しいニュースが飛び込んできました。その立役者となったのが、醸造責任者の佐藤貴裕さんです。
大分市出身の佐藤さんはモノづくりの世界に憧れ、なかでも日本ならではの食べ物に興味をもち、福岡県の大学へ進学。味噌や醤油、酒などをつくるのに欠かせない麹菌が人の健康にも良い作用を生み出すと知り、大学院に進んで研究を続けました。「学んできたことが生かせるフィールドであること、またお酒が好きだったこともあり、将来は酒造メーカーで働きたいと思うようになりました」と振り返る佐藤さん。当時は就職氷河期だったことから、酒造メーカーに絞らず食品製造会社まで幅広く視野に入れて試験を受けたところ、早々に関東の大手食品メーカーから内定を獲得したそうです。
「内定をもらった関東の食品メーカーには、実は最初から興味があったわけではありませんでした。できるなら、地元の大分で働きたいという思いもあり、その後も就職活動を続けました。改めて自分を見つめなおし、学んできたことが活かせる仕事はないか真剣に探しました」。
そして、出合ったのが三和酒類でした。三和酒類なら自分が今までやってきた発酵学についても活かせて、しかも地元大分で働ける…地元で試験を受けられるという安心感もあり、発酵に対する思いをシッカリ伝えられたことで最終面接までクリア。社員さんと食堂で昼食をとる機会もあり、その和やかな雰囲気にも魅力を感じていたという佐藤さんは、「ここしかない」と確信したそうです。
入社後は、会社の中心を担う焼酎製造部門に配属され、焼酎づくりのいろはを徹底的に習得していきました。それは大学院の研究室で行っていたことの延長で、学んできたことが活かせる仕事ではありましたが、スケールは桁違い。
「毎朝、
その頃、つきっきりでバックアップしてくれる教育担当の先輩と、現場の先輩や上司と毎日交わす1冊のノートの存在が支えになったと言います。
「そのノートは、毎日行った業務とその感想などを記入し、先輩方が返事を書いてくれるものでした。言いにくいことも率直に記入すると、皆が適切な答えを返してくれました。今でも自分のことを見つめ直したいときに、このノートを開いています」。
そんな焼酎造りの基本を身につけて、「小規模で手作りする清酒づくりにも向き合ってみたい。よりチャレンジできる環境に身を置きたい」と思うようになった佐藤さん。ちょうど、日本酒を製造する「虚空乃蔵」がリニューアルされて新商品の開発を目指すタイミングと重なり、その熱意が叶い日本酒製造部門へ異動となりました。そして、2019年からは醸造責任者を任されています。
虚空乃蔵では、わずか6人の社員で手間暇をかけ創業からの清酒づくりを行っています。ベテランの男性蔵人、酒造りは初めての女性先輩、後輩もいる多様なチームで佐藤さんが目指しているのは、「若者にも親しんでもらえる新しい感覚の酒づくり」。特にこだわりたいのは、米どころ宇佐で育つ食用の「ひのひかり」を原料に使うこと、そして香りが華やかな清酒を醸すことであり、先輩方の教え通り、五感をフルに働かせて清酒づくりと向き合う日々です。
大分で就職した理由・大分で働く魅力について
「年齢を重ねると、自分だけでなく子どもや両親の将来も考えるようになります。そうするとやはり、慣れ親しんだ地元で暮らせることに安心を感じます」。
好きなことを仕事にし、それを地元で叶えられたことに喜びを感じているという佐藤さんですが、休日の過ごし方は? 仕込みの季節である繁忙期の10~4月頃は、休日も交代で出勤するシフト制の勤務形態。休日は趣味のランニングに始まり、共働きの妻との連携プレーで2人の子どもの世話もしつつ、酒屋を巡ったり…趣味と実益を兼ねた仕事を「天職です」と笑顔で話してくれました。ちなみに、仕入れたお酒を同僚と分け合って、オンライン試飲会を催すのが最近の楽しみだそうです。はたまた、お子さんが温泉好きなので、別府温泉や長湯温泉へドライブに行くこともあるとか。
就職活動中の学生さんへアドバイス
“天職”に巡り合えた佐藤さんにも、実は挫折がありました。学生時代、ビール好きだった彼の第一志望はビールメーカーに就職することだったのですが、就職試験では箸にも棒にもかからなかったとか。「こんなに好きなのになぜ?!」と、落ち込んでいた時期がありました。しかし、こう気持ちを切り替えたとか。「好きなこと、やりたいことは変わらないから、アタックし続けることが大事だ。いろんな会社を知り、共感できる会社を見つけよう」と。そんな経験を振り返り、これから“天職”を探す学生さんたちへ、「私は最初はビール造りができる仕事にこだわっていましたが、改めて視点を広げて、三和酒類に出会いました。今はやりたいことができる会社に入社できてとてもラッキーだったと思っています。もしもやりたいことがないとしても、今までの自分を振り返って、何か興味をもてることを見つけて、それに関係する会社を知ることから始めてみることが大切だと思います」と、アドバイスをくれました。
ビールが好き、お酒が好きという気持ちを抱き続け、専門知識を持った酒のスペシャリスト「SAKE DIPLOMA」の資格も取得した佐藤さん。その目線の先には、日本の将来を見据えています。「日本酒づくりに携わるということは、日本の伝統技術を次の世代にバトンタッチする役割を担うということ。そういう仕事であるということに誇りを持って、三和酒類の日本酒を、日本中、世界中の方に届けたいです」。
- 企業データ
三和酒類株式会社
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佐伯市生まれ大分市育ち。大学で関西へ、就職で東京を寄り道してから大分へUターン。地元雑誌社勤務ののちフリーランスに。「帰っても仕事がない」なんて言ってる人に、大分にもスゴい会社、スゴい人がたくさんいることを伝えたい!