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おおいたをたのしむ

2020年02月14日

竹の可能性を世界へ

大分は自然も豊か、温泉もあり、食べ物も新鮮で美味しく…と「暮らしやすい場所」というイメージを持っている方も多いことかと思います。
しかし大分はそれだけではないのです。
日々挑戦を重ね、プロダクトを通じてその挑む姿を私たちに見せてくれる方々がたくさんいる場所でもあるのです。

豊後高田で活動される竹藝家の麻生あかりさんは、世界に活躍の場を広げているまさに「挑み」の方。

今回は大分で生まれた世界初の竹のアクセサリーブランド「MIKAI BAMBOO(ミカヰバンブー)」についてや竹への想いなど、麻生さんにお話をお聞きしてきました!

MIKAI BAMBOO(ミカヰバンブー)

MIKAI BAMBOOが生まれるまで

兵庫県出身の麻生さんは、「手に職をつけたい、歴史ある技術をゼロから学んでみたい」と、以前オオイタカテテでも紹介した、大分県立竹工芸訓練センターへ入学。

卒業後は豊後高田市に移住し、世界初の竹のアクセサリーブランドである「MIKAI BAMBOO」を2016年に立ち上げます。

「在校中から竹で食べていくにはどうすればいいかを考えていた」と麻生さん。
竹細工は高度な技術なので、技術さえ身につければ食べていけると思っていたという麻生さんが、コストと成果物の価格のバランスが取れていないことに気がついたのは、高い技術を持っている方でも、それだけでは食べていけないという現実を知ったからだそう。

「伝統的工芸品の竹細工は、本来買い叩かれるものではないのに、値段が安くなってしまっている。敬意を払い、適切な価格をつけていく必要があると思いました」と、ご自身のアクセサリーブランドを立ち上げることを決められたそうです。

MIKAI BAMBOO(ミカヰバンブー)

「MIKAI BAMBOO(ミカヰバンブー)」は「竹の新しい世界(未開)を開いていきたい」という想いから名付けられたそうです。

その後、渋谷ヒカリエのd47MUSEUMで開催された「47accessories2-47都道府県のアクセサリー展」の大分県代表に選出。イタリアのミラノデザインウィークの出展やパリなどへも進出後、2017年には高級車ブランドのレクサスが全国から優れた匠(たくみ)を募る「Lexus New Takumi Project」に選出、NHK BSの番組「イッピン」にも出演…とMIKAI BAMBOOは活躍の場を広げています。

竹の美しさをもっと知ってもらいたい

日本一の真竹の生産量を誇る大分県。中でも豊後高田の竹は質が良く、日本の伝統美を誇る京都などにも出荷されているとか。
麻生さんは自ら山へ行き、ご自身の目で選び抜いた竹を切り出すところから作品作りをされています。

毎年9月から12月の間に一年分の竹を採り、一本一本丁寧に薄く細い「竹ひご」にし、「ひごとり」をしていくのだそう。

「ひごとりをしているときは、竹の持つ美しさをより感じます」と麻生さん。
竹そのものに柔軟性があることや、薄くしていくことで弾力性としなやかさが出てくるのも竹の魅力だそうです。

MIKAI BAMBOO(ミカヰバンブー)

「竹という素材が自分にあっているんでしょうね」と麻生さん。竹のもつ「美しさとしなやかさ」が、麻生さんご自身の個性とリンクするのだろうな…とこっそり感じていました。

世界での反応

順風満帆に歩んできたようにみえるMIKAI BAMBOOですが、実は不安な時期が続いたという麻生さん。

「始まりが順調すぎて、試行錯誤を重ねたり、ブランドを熟成させる間がなかったんですよね。師匠がいないので、自分がやっていることが正しいのかどうか、ずっと不安でした。竹細工は伝統的なものなので」

そんな不安を和らげてくれたのは、海外での展示会での反応だったのだそう。

MIKAI BAMBOO(ミカヰバンブー)ミラノサローネの出展

ミラノデザインウィークでの出展の様子。海外の方達の反応に、「ルールはあるようで無い」と勉強になったそうです

ミラノに行ったときに、実際ものとして良いと思ってもらえるならそれでいいのかな、と思えた。誰かが良いというものだから良い、ということではなく、目の前の人の意見がきけたり、素直な反応が返ってくるので」

実際展示会では、その軽さやカラフルさが注目されるとともに、「これは何でできているの?」と竹から出来ていることに驚かれることが多いそう。

「ブランドとして大事にしているのは驚きや新規性。これからも面白さを追求していきたい」と麻生さん。

MIKAI BAMBOO(ミカヰバンブー)ミラノ展示

まさに竹の新しい価値を世界に伝えているブランドですね。

気になるMIKAI BAMBOOの作品をご紹介

MIKAI BAMBOO(ミカヰバンブー)ICHI(いち)

ひごとり3年という言葉があるくらい、竹細工はひごを綺麗に取るのが難しいのだそう。
そこで「ひごが主役の製品があってもいいのではないか」と生まれた「ICHI(いち)」
竹の中でも「いち」ばん良いところを使い、竹の美しさやしなやかさが小さい作品の中で表現されています。

MIKAI BAMBOO(ミカヰバンブー)きあずま

「もともとはできないと思っていた」という編み方にチャレンジして生まれたという「Chiasma(きあずま)」
Lexus New Takumi Projectのスーパーバイザーであり、ピンズコレクターでもある小山薫堂さんから「愛用してます!」とお手紙をいただいたこともあるのだとか。Chiasmaのピアスも販売しています。

豊後高田から世界へ発信

「竹ってめちゃくちゃきれいなんですよ。昔から日本にある生命体のこの美しさを、もっと伝えていきたいです」と、豊後高田の竹を用いて、別府にて学んだ技術で作品を制作し、世界へと竹の魅力を発信している麻生さん。

MIKAI BAMBOOの名前の通り、竹の「未開」の世界を開いていくぞという彼女の挑む気持ちが溢れる作品たち。
彼女のまっすぐな想いが手を伝わり一つ一つの作品に命を灯し、竹の放つ美しさを更に世界へと届けているのだと感じました。

今後の目標を伺うと、「竹の可能性と価値を高められるようなことが、少しでも出来たらなと思っています」と麻生さん。

大分が誇る伝統的工芸品である竹細工。これからのMIKAI BAMBOOの活躍と、同時に広がる竹の可能性が楽しみです。

MIKAI BAMBOO(ミカヰバンブー)

私が竹だったらMIKAI BAMBOOの作品になりたい。

ちなみに現在MIKAI BAMBOOではアシスタントの方も募集しているそう。
「ずっと単調な作業が続くので、自分の中で目標設定ができる人がいいですね」と麻生さん。

大学を卒業後にUターンで戻って来られる方などには、近くの物件探しも一緒に行ってくれるそうですよ。
「あ、あと涙は悔し涙だけで!」ともちろん甘い世界ではないですが、世界に挑戦できる大きいチャンスだと思います…!興味がある方はぜひ!

MIKAI BAMBOO(ミカヰバンブー)

WRITER

  • yuchico
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    東京のはじっこ生まれ。ライター・編集業をしながら2年間全国を放浪したのち、2016年にとにかくご縁があった大分県にお引越し。現在は中津市にある小さい森のキャンプ場「バルンバルンの森」の企画や広報を担当。日々おおいた暮らしを満喫中。

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