おおいたではたらく
2019年03月15日
株式会社ケイティーエス取締役社長
- 業種
- 製造業
https://favoita.com/companies/388
1981年に「株式会社九州特機システム」として創業。ホテル向けの有料放送システムの開発、販売からスタートし、下水管内検査用モニターや診察券の発行機などさまざまな機器を手がけてきました。小型環境観測衛星「てんこう」への取り組み、新しいホテル向けVODシステム「SiTV」の開発などで、今、注目の企業です。
社長インタビュー
- 企業名
- 株式会社ケイティーエス
- お名前
- 本地 洋一(ホンヂ ヨウイチ)
- 役職
- 取締役社長
多くのモノづくり企業がそうであるように、当社の社員は長年の経験があるベテラン揃いです。おかげで会社としての業績は好調。しかし、それを支える社員たちの技術を受け継ぎ、また新しい風を吹かせてもらうためにも今、若い人材の力が必要だと考えています。
当社は、現会長の塚崎理が個人で創業した会社で、当初は「株式会社九州特機システム」という名前でした。ホテルの有料放送システムCCTVに始まりさまざまな機器を開発、販売しながら、やがてプリント基板を製造する「株式会社トッキ」を設立。「株式会社トッキ」の半導体製造装置組立事業を分社して「株式会社メガテック」を設立。この2つの会社を統合して「株式会社ケイティーエス」となりました。その流れを汲み、SI(System Innovation)事業部、EdMS(Electronic development Design & Manufacturing Service)事業部の2本を柱に事業を展開しています。
SI事業部は、ホテル向けVODシステムの開発をメインに、映像、IT、エンターテインメントシステムの開発から製造、販売までを行っています。ホテルに宿泊したとき、テレビで映画を観たり、ホテルの案内を見たりできるものです。創業時から長年培ってきたノウハウをもとに、近年はこれを進化させた次世代マルチメディアシステム「SiTV」をリリース。年々増加している外国人観光客に向けて、浴衣の着方や入浴方法などを4ヶ国語で案内するサービスを付加したり、手もちのスマートフォンやタブレットでTV画面を操作は勿論のこと、写真や動画等をTVの大画面に写し出したりできるもの。部屋にいながらレストランや大浴場の混み具合まで確認できるという、今までにないシステムです。また、客室清掃管理もでき、お客さまだけではなくホテル側にもメリットを感じていただけるようにつくられています。そんな画期的なシステムが、客室のSTB(放送信号を受信して、一般のテレビで視聴可能な信号に変換する装置)ひとつで叶うというのも自負するところ。これは今、全国でのシェアがトップクラスを誇る当社の主力商品です。ちなみに、このシステムを体感していただくため、社内にホテルの一室を再現しています。興味を持っていただいたお客さまには、実際にその良さを実感していただくのがいちばんですからね。「自利利他」の精神です。
一方、EdMS事業部は、あらゆる電子機器に必ず搭載される「プリント基板」という部品を手がけています。その設計から組み立て、検査、納品まで一貫して自社で行えるのが強み。この強みを生かして、さまざまな業種からのオーダーに応えています。それは技術者にとって醍醐味を感じられる部分でもあります。たとえば、過去に携わったものにはご飯を自動で茶碗につぐ機械の基板、半導体製造装置の基板、放射線医療機の基板などがあります。「こんなものができないか」というお客様の要望を実現するのが私たちの仕事です。お客様と夢を共有できるのです。この技術力を生かして参加させていただいたのが、小型環境観測衛星「てんこう」のプロジェクトです。EdMS事業部の技術開発部、齊藤幸治部長が担当しました。
また、半導体製造装置組立で培った組立技術を生かしてLCD製造装置の関連装置の組立やロボットの組立も行っています。
事業部方針発表会の様子
当社は、生え抜きの社員のほか、転職してきた技術者もたくさんいます。実は私も、「てんこう」の齊藤部長もそうです。新しい目で会社を見たときに、「あれをやってみたい」「これをやってみたい」という可能性が生まれると思っています。当社は中小企業だからこそ、日頃の殻を破るようなチャレンジができます。技術力を磨き、お客様から期待される会社でありたいと思っています。ですから、県内の学生さんにも、県外で就職しUターンを考えている20代、30代の若い方々にはぜひ、私たちの会社に興味を持っていただけたら嬉しいです。
小型環境観測衛星「てんこう」を担当された齊藤幸治部長のお話
今回のプロジェクトは、九州工業大学の学生さんたちが中心になって開発を進めてきたもので、そのスーパーバイザーとして携わらせていただきました。小型環境観測衛星「てんこう」は、太陽フレアを測定するものです。それを測定するためのセンサーと、測定した結果を地上に送る無線の装置の基板づくりをお手伝いしました。
衛星と言うと、最先端の高度な技術をイメージされるかもしれませんが、蓋を開けてみると実はまったく逆でした。いったん、宇宙に打ち上げてしまった衛星は、故障すると対処するすべがありませんよね。ということは、故障や破損が絶対に起こらないようなものが必要なのです。なおかつ、同じ回路が2つあって、どちらかが壊れても動き続けるというのがいちばん重要なところであり、確実な技術が求められました。打ち上げに成功し、現在も「てんこう」が正確に宇宙からのデータを送ってきてくれているということは、当社の技術が評価されたと自信を持っています。
開発の仕事は大変ですが、そのぶんやりがいもある仕事です。経験がない人でも、経験はここで積めばいい。向上心や好奇心の強い人が、仲間に加わってくれると嬉しいですね。
- 企業データ
株式会社ケイティーエス
WRITER
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佐伯市生まれ大分市育ち。大学で関西へ、就職で東京を寄り道してから大分へUターン。地元雑誌社勤務ののちフリーランスに。「帰っても仕事がない」なんて言ってる人に、大分にもスゴい会社、スゴい人がたくさんいることを伝えたい!