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おおいたをたのしむ

2022年02月25日

「清島アパート」って、一体どんなとこ?

別府市内になにやらレトロかわいい建物が。その名も「清島アパート」って、一体どんなとこ?
実はここ、全国のアーティストが生活しながら製作活動の場として活用している場所なのだとか。一体どんなアーティストがどんな活動をしているのかを探るべく、テキスタイルデザインアーティスト・森本凌司さんにお話を聞きました!
今回は、大分の知られざるスポットで新たな魅力を探るべく、県内の現役大学生が現地レポートします。いざ、「清島アパート」へGO!

今回の行き先
清島アパート

大分県別府市にある「清島アパート」は、戦後すぐに建てられた3棟22室からなる元下宿アパート。2009年に開催された、別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」の会場として使用したことをきっかけに今も、全国各地から集まる様々なアーティスト、クリエーターの居住・制作環境として活用されています。当時、アーティストたちの活動に感動した大家様のご理解のもと、また若い人の活躍の場になればという想いから現在は、「NPO法人BEPPU PROJECT」がアーティストの活動支援の一環として運営しています。

今回取材に行ったのは

青木 萌映さん

青木 萌映さん

立命館アジア太平洋大学・国際経営学部4年生。専攻はマーケティングを学んでおり、現在はデザイン経営について卒業論文を執筆しています。卒業して別府・大分を離れることが今から寂しいですが、4年半お世話になった大分に、何か還元できることがないかと思い、BEAMS×BEPPUのプロジェクトに参加したことはとてもいい思い出です。この企画を通じて、県外の方にとっての「大分」に温泉だけではない、新たなイメージを持ってもらえたらと思っています!

今回お話を伺ったのは

森本 凌司さん

森本 凌司さん

清島アパートに暮らし製作活動をしているアーティスト。
糸を用いて“縫う”という表現方法を繰り返しながら、人と人との関係性や距離感、自分のルーツなどを模索。両面ある布の片方しか見ずに紡ぐ独特の手法で、無作為なものと意図的なものが重なり合い作品となっています。最近は、写真や映像を用いた作品も手掛けています。

アーティスト・森本 凌司ができるまで

「清島アパート」って、一体どんなとこ?
青木さん(以下、青木)
今、どのような活動をされているんですか?
森本さん(以下、森本)
僕は基本的に「糸」を使った製作活動をしています。あとはデザイン関係の仕事もしています。美術の世界に携わったのは約2年ほど前からなんです。
青木
2年前まではどんな生活をされていたのですか?
森本
2年前までは、イギリスのバース市にある大学でデザインや、テキスタイルの勉強を専門に学んでいました。別府市とバース市が姉妹都市を結んでいるので、そこで別府の人たちとも知り合ったんですね。その時に別府をバースの人に知ってもらうためのボランティア活動もしていましたし興味もあったので、卒業後は別府に行こうかなと思い今に至ります。
青木
森本さん自身、それまでは別府との繋がりはあったんですか?
森本
僕は高知出身で一度東京の大学へも通っていたので、別府とは無縁でした(笑)。
イギリスで、別府との繋がりができたことがきっかけです。
「清島アパート」って、一体どんなとこ?
青木
それは面白い縁ですね!清島アパートでの活動を詳しく教えてください。
森本
イギリスではテキスタイルデザインを学んでいたので、今も布を使っての製作活動が多いです。デザインも生地のデザインをしています。他にも、地元や地域との交流もしています。昨日も近所の広場で自分の活動を、小さなお子さまを持つ親御さんたちに向けてお話させてもらいました。自分の幼少期の話なども話したので、何か感じてもらえたらなと思います。確かタイトルは「達人と話そう」という感じでした(笑)。アーティスト活動だけでなく、こういう地元との交流も大切だと感じますし僕自身も楽しいですね。
「清島アパート」って、一体どんなとこ?
青木
アーティストになるきっかけはありましたか?
森本
小さな頃からずっと川で遊ぶのが好きな普通の子どもでしたけどね(笑)。でも元々、両親が家具好きで集めていたので、家具のデザインには興味がありました。絵画を習っていたりはしていましたので、両親の影響はあったのかもしれませんね。

清島アパートでの生活

青木
清島アパートを知ったきっかけは?
森本
大学時代に別府市にある「庚申和裁研究所」の人と知り合ったことがきっかけでした。2020年はそこに1年間住みながら、「BEPPU PROJECT」の人たちと出会ったことで清島アパートの存在を知ったんですね。色々な活動を通じてすごく魅力を感じましたし、ここに住むアーティストの方たちを知って惹かれていきました。
「清島アパート」って、一体どんなとこ?
青木
実際に住んでみて、ここでの暮らしはどうですか?
森本
ちょっと寒いですけどね(笑)近くに温泉もありますし楽しいですよ。一緒に住んでいるアーティストの方たちからも色んな刺激を受けていますし、製作活動のモチベーションにもなっています。僕の作品についても意見をくれますし、楽しいだけではなくてちゃんと真面目な話もしています(笑)。誰かと話す事で自分を見つめ直す事もできるので、本当いい人たちと出会えたなと感じています。毎日たくさんの発見がありますよ。
青木
森本さんの作品はどこで見ることができますか?
森本
JR別府駅高架下に「現実」という名のアートスペースがあるんですが、そこで毎月第4月曜日に展示しています。今は別府駅市場でも展示していますし、僕以外の清島アパートのアーティストの作品も見ることができます。
「清島アパート」って、一体どんなとこ?

製作活動とともに自分探しの旅へ

青木
作品のイマジネーションや発想が生まれる時はどんな時ですか?
森本
僕は本を読んでいる時や、人と話している時が多いですね。あとはひたすら考えています。お風呂に入っている時や、作品は刺繍するのでその作業中にも作りながら考えている感じですね。一つの作品を作るのに約1ヶ月くらいかかりますが、まだ販売はしていないので作品で生活できるようになりたいですね。
「清島アパート」って、一体どんなとこ?
青木
作品を作りながら伝えたいことなどを考えているんですね。独特な製作方法で、興味深いです。
森本
そうですね、僕の場合は2枚の布を合わせて裏表に刺繍して作品にするものが多いのですが、片方からしか針を通さずに作るんです。なので意図的に刺した方と、反対側に出る糸は無作為なもの。そこに、人の内面や境界線を表現できればと思っています。今は、自分のルーツとなる祖母と僕を製作中です。
青木
今後の活動の目標などあれば教えてください!
森本
最近ようやく自分のやりたい事が固まってきたので、今はひたすら製作をしたいなと思っています。なので出来れば来年も清島アパートで暮らしたいですね。地域交流もしたいので、今は別府市役所の人とバース市と別府市の交流をもっと増やしたいと話しているところです。3月くらいにバース市のアーティストや大学生の人の作品を別府市美術館に展示する計画もしています。1年間暮らしていた和裁屋さんともずっとコラボさせてもらったりしているので、今後は伝統工芸なども取り入れて何かできたらいいなと思っています。
「清島アパート」って、一体どんなとこ? 「清島アパート」って、一体どんなとこ?

青木’s impression

これまでアートは、自分を表現する手段と思っていましたが、今回の取材を通して自分を探究する手段でもあると感じました!また、森本さんの作品が、森本さんの周りの方々をモチーフに作成されていることや、人の温かみを感じるものだと知ることができました。清島アパートが、別府に住むさまざまな人たちにとっての刺激を与え合う場になっていることがわかりました!

動画はこちら

大分合同新聞ゲートチャンネル「地域の芽、学生の目 NBUビデオ通信」
「清島アパートの活動 ~ようこそ芸術の家へ~」

清島アパート
大分県別府市末広町2-27
http://beppuproject.com/kiyoshima/

WRITER

  • 塩月 なつみ
  • 塩月 なつみ記事一覧

    かぼすポン酢をこよなく愛する生粋の大分女。美味しいものが大好きで、おなかがすくと途端に不機嫌になります。大分トリニータを中心に、企業や観光、飲食などオールジャンルで取材撮影中!

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