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おおいたをたのしむ

2024年03月29日

芸術家等定住促進施設「イミテラス」
国東へアートに触れる旅へ出かけよう

国東半島がもつ神秘的な雰囲気とアートの融合性から、最近ではアートファンが注目するエリアとなっている国東市。訪れる人たちに、国東半島の歴史や自然豊かな魅力を体感してほしいという願いから、市内の様々な場所に現代アート作品が点在しています。
中でも国見町は近年、芸術家や工芸家などのアーティストたちが移り住み、「アートの町」として知られています。そこにある「芸術家等定住促進施設・イミテラス」、皆さんはご存知ですか?
どんな施設で、どんな方たちが活動しているのか、潜入してきました!

大分移住レポート”移住”ってどう?自分らしく暮らす移住ライフ

国東市国見町、通称・ギャラリー通りにある「芸術家等定住促進施設・イミテラス」。
元々は雑貨屋さんだった空き家を改修し、芸術家やアーティストの移住定住促進のためのインキュベーション施設として平成26年7月に誕生しました。

※インキュベーション(英語:incubation)とは、「起業および事業の創出をサポートするサービス・活動」を意味する言葉。もともと英語では「孵化ふか」「卵をかえす」などの意味を持ち、現在では「新規事業の立ち上げをサポート・育成する」意味を持つ経済用語としても使用される。

大分移住レポート”移住”ってどう?自分らしく暮らす移住ライフ

アーティストの作品を展示するギャラリーやワークショップ、交流スペースとして活用するほか、アーティストの移住を目的とした活動拠点など、移住定住や交流人口の増加促進する場所となっています。

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イミテラス誕生までの歩み

誕生のきっかけは、1999年から国見町に移住し、作家・プロデューサーなど多方面で活躍する中野 伸哉さん(陶器・ガラス工房 LA PALOMA代表)。ご自身が移住する際、不動産や町の情報などが不十分だった経験から始まったと当時を振り返ります。
「その頃はまだ空き家バンクもなくて、全て自分で交渉しなければいけなかったんです。東京と大分間を何度も往復して移住に至りましたが、アーティストたちがこのような経験をしなくてもいいように、またこの町への移住を促進する場を作りたいという想いから企画しました」。

中野さんは国見町に魅せられた1人。多くのアーティストが活動する場としてこの国見町は最高の場所になると、滞在型の宿泊施設にすることを希望しました。また、都心にいなくても仕事ができる在り方をこの場所で実現しています。
「空港が近いのでアクセスの良さも魅力ですね。さっきまで渋谷の交差点にいたのに、大分に帰ってマテ貝を採って、晩ごはんを食べるまで3時間(笑)。ここには独特の空気感もありますし、“ここでしか仕事はできない”と決めるのはもったいない時代だと思っています」。

大分移住レポート”移住”ってどう?自分らしく暮らす移住ライフ

そんな中野さんの想いのもとスタートしたイミテラス。
管理・運営を行っている「NPO法人国東半島くにみ粋群」に申し込めば、1日1,500円で利用できます。どなたでも利用できますが、そこは「アーティスト・イン・レジデンス」、作家優先のシステムとなっています。
利用者の多くは芸術活動をしながら移住のための空き家を探しているそうで、染色家や陶芸家、作家など多くのアーティストがこの場所を訪れています。
中野さんに国見町の魅力を問うと、「空港の利便性や、海と山が近いこと、そして田舎特有の雰囲気が作品のインスピレーションに繋がるんです」と話してくれました。実際にイミテラスを利用したことで移住を決意し、現在国見町で暮らしている作家も多数います。このような例は、空き家利活用モデルケースのひとつにもなっています。

※アーティストが一定期間ある土地に滞在し、常時とは異なる文化環境で作品制作やリサーチ活動を行うこと。

大分移住レポート”移住”ってどう?自分らしく暮らす移住ライフ

自分らしい生き方を探して ニット作家・谷口聡子さん

大分移住レポート”移住”ってどう?自分らしく暮らす移住ライフ

イミテラスを利用して実際に移住したアーティスト、ニット作家の谷口聡子さんにお話を伺いました。
谷口さんは東京で作家活動をしていましたが、ライフスタイルを見直したいと思ったことがきっかけとなり移住を決意。縁のあった九州圏内で移住先を探すも、あまりピンとこない場所ばかり。悩んでいたところ移住フェアで、国東市役所の方から声をかけられたことがきっかけとなったそうです。

大分移住レポート”移住”ってどう?自分らしく暮らす移住ライフ

(photo by 鮫島亜希子)

2023年9月にイミテラスを利用。そこから移住に関する不安や情報を職員の方や移住者の方にたくさん聞いたという谷口さん。
「元々、自然の豊かな場所を探していたという点もありましたが、国東の芸術祭の話や、国見町で制作に励む作家さんたちを紹介する“国見作家手帖”という冊子もとても魅力的でした。それを見た時に、漠然と描いていた移住のイメージと合致したんです」。
国東の雰囲気や風土、空気感に合うものを感じた谷口さん。そこで出会った中野さん達先輩アーティストや役所の人々に触れ、国見町に数日滞在しました。

大分移住レポート”移住”ってどう?自分らしく暮らす移住ライフ

現在谷口さんは、国東市の「地域おこし協力隊」として鶴川商店街周辺観光・交流拠点施設に勤務しながら、作家活動を行っています。
「これまで個展や教室を開きながら四六時中ものづくりをする生活でした。でも自分の未来を考えた時、もっと社会や人とつながっていけたらという想いがありました。今は活動を通じて色んな人たちと出会えることが自分の財産ですし、町の方々の価値観と自分が大事にしていることが近いなと感じています。それが、ここに暮らす理由なのかもしれませんね」。
今までの暮らしを変えることに不安は当然あったという谷口さんですが、不便さすらも町の人たちと一緒に楽しむ日々。東京の生活では感じ得なかったであろう、新しい感情やインスピレーションをプラスにしながら谷口さんは更なる創作活動を続けていきます。

大分移住レポート”移住”ってどう?自分らしく暮らす移住ライフ

コロナ禍以降、仕事のやり方や情報の発信の幅が広がり、日本から世界へ発信することもぐっと身近になった昨今。イミテラスにも、国東半島芸術祭などで世界的なアーティストが訪れ作品を残しています。また5月のGW頃には、「国見町工房ギャラリーめぐり」が開催予定。ものづくりに励む作家さんたちの作品に見て触れて、肌で感じられるイベントです。ぜひ足を運んで、国東市や国見町に流れる気持ちのいい空気、雰囲気あるアートな町並みを感じてみてくださいね。

芸術家等定住促進施設「イミテラス」
〒872-1401
大分県国東市国見町伊美2412−1
http://www.suigun.sakura.ne.jp/tokusyu/imiterasu.html

WRITER

  • 塩月 なつみ
  • 塩月 なつみ記事一覧

    かぼすポン酢をこよなく愛する生粋の大分女。美味しいものが大好きで、おなかがすくと途端に不機嫌になります。大分トリニータを中心に、企業や観光、飲食などオールジャンルで取材撮影中!

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