おおいたをたのしむ
2016年06月30日
別府には、情熱も沸いています。
4月14日、4月16日。
大きな揺れが熊本県、大分県を襲いました。
まさしく、激震が走った平成28年(2016年)熊本地震。
被害は周知の通り、非常に大きなものでした。
大分県内でも強い揺れが発生しましたが、幸い別府市の旅館やホテルには建物などへの直接的な影響は少なく、現在、旅館ホテル組合加盟112軒中111軒が元気に営業しています。
しかし、インバウンドやディスティネーションキャンペーンなどで、好調に推移していた観光業にとって、今回の地震の発生は大きなブレーキとなってしまいました。
地震直後の数日間で大分県内の宿泊などのキャンセル数は約20万件、その半数以上は別府だったといいます。そして、風評被害は未だに続いています。
けれど、ただ、手をこまねいてお客様が戻ってくるのを待っているわけにはいきません。おんせん県おおいたの県民の心は沸いています。
この際、情熱県!!でもいいのでは!?
そう思わせてくれたのが、まさに打撃を受けた別府の宿の方々。『おんせん県観光誘致協議会』が中心となり、復旧とともに復興へのスタート。それが『GO! Beppu おおいたへ行こう!キャンペーン』。
協議会の会長を務めるホテル白菊代表取締役社長西田陽一さんにお話をお聞きしました。
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- 大変な時期にお時間をいただきありがとうございます。まずは、地震発生当時の様子を聞かせてください。
- 西田会長:
- 地震後すぐ宿に駆けつけて、お客様の対応をしました。やはり、地震をあまり体験したことのない外国人の方々は、一様に不安な思いをされていましたね。余震の恐怖から、多くのお客様がロビーで一夜を明かしました。外の通りには、別府公園へ避難する方々の姿も見えました。
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- 建物などの被害はなかったのですか?
- 西田会長:
- 営業するうえで支障をきたすような被害はありませんでした。
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- 被害がなかったのにも関わらず、キャンセルが続いたのですか?
- 西田会長:
- そうですね。一時は電話が鳴るたびにキャンセル、というような状況でした。どうしても、メディアでは、被害の大きなところが映されてしまい、それがあたかも熊本・大分のすべてというふうに捉えられてしまう。その上、台風のように通り過ぎれば安心。と言えない部分がありますからね。ただ、何もしないわけにはいかない。広報をする予算もない状態でしたが、まずは、一手打たなければと考えました。別府は大丈夫!!ということをまずは、県民の皆様に知って欲しかったんです。
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- それが新聞広告だったんですね。なぜ、県内のメディアで?という疑問もあったのですが、まずは、県民にという思いがあったのですね。それはなぜですか?
- 西田会長:
- 県内と言えど、遠方の方には別府の状況はわかり難いところがあると思いますし、こんな時だからこそ、県内の方に泊まっていただいて、県全体で「大分は大丈夫!!」という機運を高めていただき、その余波を全国に広げていきたいと考えました。あくまでも第一段階、という思いでした。
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- 面白いキャッチコピーがSNSなどで拡散されましたね。あれは、どなたが考案されたのですか?
- 西田会長:
- 協議会のメンバーと何度も話し合いながら決めました。もちろん、広告会社さんにも協力してもらいましたが。真面目だったり切実だったり、というよりもこんな状況だからこそ“クスっ”と笑えるものでないといけない。もちろん真面目なものもありましたが、最終的に笑えるものが拡散された時は嬉しかったです。
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- 反響はいかがでしたか?
- 西田会長:
- ありがたいことに5月3、4日辺りは少し客足が戻りつつありましたが、やはり厳しさは続いている状態です。ここ数年“おんせん県おおいた”の効果が出てきていると感じていましたが、いきなり訪れた大ピンチでしたね。こういった災害の時、通常営業に戻すまでに7ヶ月はかかると言われていますが、7ヶ月も待っていられません。夏には対前年100%に戻すV時回復を目指して、色々な施策を立てていきたいと思っています。今はまだ考えられる状態ではありませんが、近い将来「あの時は大変だったなぁ」なんて振り返られる日がくるよう頑張りたいです。
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- ご自身達も大変ななか、熊本県の被災者を招待したバスツアーを開催した経緯を教えてください。
- 西田会長:
- それも協議会が母体となり南阿蘇の方々を日帰り別府旅行に招待しました。バス4台で84名ほどの方々に参加してもらい、地獄巡りをしていただき、1家族1部屋でのんびりしたり、温泉につかってもらったりして戴きました。避難所で生活している方は、プライバシーのない状況下で非常に疲労困憊だったと思います。少しでもリラックスしてもらいたいと純粋に思ったんです。そして、大分県、別府は元気だった!!と友人知人の方に伝えて欲しいという願いもありました。参加した方のなかには、以前来られたことがある方もいたようで、嬉しそうに別府の思い出話をしてくださいました。ほんのひとときだけでも、日常に戻れたのかもしれません。実施して良かったと感じています。
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- 地震から2ヶ月が過ぎましたが、手を緩めることなく復興への施策を次々に打ち出していますが、次の一手は?
- 西田会長:
- 夏休みシーズンに向けて、県外でのPRも始めなければなりません。博多駅前でのキャラバンを計画しています。(6月25、26日開催済み)ステージや飲食など大きなイベントが詰めの段階です。新聞広告もスケールアップしたものを計画中ですのでぜひ、楽しみにしておいてもらいたいですね。新聞に載せた『お客様は(マジで)神様です』にちなんだ神様切符という商品も販売予定です。高速バスチケットや路線バス乗り放題、タオルや缶バッチなどがセットになった商品で5千円(予定)とお得です。学生さんの旅行にも良いんじゃないかと思います。
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- へこたれず、前向きに行動する姿は、別府のみならず県内各地で被害に遭われた方々、熊本の方々さえ勇気づけているのではないでしょうか。
- 西田会長:
それぞれの宿や施設の方々は経営についてかなり悩んでいると思います。しかし、今、我々にできることは前向きに情報発信していくことです。今回の一件で、大分の良さ、温泉のすばらしさ、団結・連携の大切さを改めて実感し理解しました。多くの方がそう感じているはずです。ですから、さらに磨きのかかった別府、大分、熊本へぜひ遊びに来て、私たちの誇るべき地元の魅力を感じてください。
今、別府大分熊本にとって
『お客様は(マジで)神様です』。
インフォメーション
観光産業は、非常に裾野の広い総合産業であると同時に、地域のコミュニティを支える産業でもあります。
九州観光の復興をいち早く成し遂げるため、九州各県では、国の支援を受けて、大分県や熊本県での宿泊が最大7割引になる九州観光支援旅行券事業、いわゆる「九州ふっこう割」を実施することになりました。
インターネットや旅行会社の割引旅行商品や、コンビニでの割引宿泊券が販売されます。加えて、九州エリアの高速道路が定額で乗り放題となる九州観光周遊ドライブパスも始まります。
これを機に、夏休みには、日本一の湧出量と源泉数を誇る温泉や食の「味力」が満載の大分県へ、家族や知人、サークルの仲間たちと一緒に是非お越しください。
- 大分への観光はこちら
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ツーリズムおおいた
公式サイト http://www.visit-oita.jp
WRITER
- 嶋山 哲史記事一覧
上京する仲間を見送り、彼らより充実した仕事、暮らしをココ(大分)で叶えると誓った20代。寝る間も惜しんで働き、遊んだ20代。下積み活きてきた30代。あっという間に40代。一所懸命生きていると自ずと自分の道が見えてくる…? しんけん働こう。