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おおいたをたのしむ

2021年04月16日

耶馬渓鉄道の車両に泊まって
「やばけい遊覧」

そろそろ新緑のまぶしい、すがすがしい季節がやってきますね。大分県内のこの時期おすすめのドライブスポットはいくつかありますが、耶馬渓(やばけい)の緑がいいんですよ。廃線跡のルートをめぐる「メイプル耶馬サイクリングロード」もありますし。
なんて思っていたときに、タイムリーな話題。
「中津で電車の車両に泊まれるところがあるんだってよ。しかもかなり貴重なものらしい」

ん?どういうこと??

ふと、通るたびに気になっていた、とある場所のことを思い出す。きっとあの場所になにか関係があるに違いない! さっそくリサーチに出かけてきました。

建物に汽車が連結!?

中津駅から耶馬渓方面に向かって国道212号沿いに進むこと約5分。“泊まれる車両”のある場所に到着。見覚えのあるこの外観、ピンと来ていた場所と完全一致です。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

ここは、中津市で1971年から地元の人たちに愛されている「汽車ポッポ食堂」。その敷地内に、2020年12月『鉄道のホテル 汽車ポッポ「別邸」』が誕生しました。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」 耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

写真提供 今戸葉二様

1913年に開業した「耶馬渓鉄道」が1975年に時代の流れとともに廃線となり、オーナーの伊藤太陽さんのお父様が、中津の地域の歴史と一緒に歩んできた耶馬渓鉄道をどうにかして残したいという思いで車両を購入。その車両を生かして食堂によみがえらせたのが「汽車ポッポ」の始まりでした。
蒸気機関車が主流だった当時、エンジンを積んだ車両は最先端で、耶馬渓を走るためにオリジナルでつくられた貴重なもの。戦前につくられた車両は日本に5台残るのみで、そのうちの2台が汽車ポッポに大切に保管されてきました。
時間の経過とともに劣化が進んでしまったこともあり、この先も残していくために「別邸」をつくることになりました。

耶馬渓鉄道は、2017年に日本遺産に認定されたストーリー「やばけい遊覧~大地に描いた山水絵巻の道をゆく」を構成する文化財の一つ。 現在は全長36kmの線路跡のうち、本耶馬渓から山国までの約22kmが自転車専用道路「メイプル耶馬サイクリングロード」となり、赤い鉄橋や小さなトンネルなどのさまざまな鉄道遺産を見て楽しめることもあって、全国の鉄道ファンやサイクリング愛好者の聖地となっています。

汽車ポッポに残る3つの車両に泊まろう

「車両がホテルに生まれ変わった」と話だけを聞いてもなかなかイメージが湧かないので、汽車ポッポ「別邸」を見せていただくことに。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」 耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

なんと「車両in客室」です。
まるで大切にショーケースに飾られた電車の模型のよう。この踏切も、もちろん本物。連結の部品もオブジェとして飾られています。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

客室は3棟の離れになっていて、国東半島・県北の景勝地「耶馬渓」「青の洞門」「国東(くにさき)」をテーマに、耶馬渓鉄道を走っていた車両を利用してデザインされました。

まるでテーマパーク! 新感覚の鉄道のホテル

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

まず足を踏み入れたのは「耶馬渓の社(やばけいのやしろ)」。
扉を開けると、天井が高く開放感あふれ、室内に車両がまるごと収まっている姿がお出迎え。さながら、プラットホームに停車して、そこから乗り込むかのような設計です。「耶馬渓の社」には、1937年に製造された「キハ104せきれい」が鎮座していました。もうなんだか神々しく見えてきます。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」 耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

豪華寝台列車でこれから旅に出るような気分で、ドキドキしながらいざ車両の中へ…。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

室内はシックな色合いの温かみのあるブラウンで統一。車両の基本的なつくりはそのままに、耶馬渓が木材の産地ということもあって、木をふんだんに使った室内になっています。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

運転席も座ってOKなんです! これにはお子さんだけでなく、大人も大興奮。かつての座席も部分的に残っていて、そこにも腰かけることができます。昔の灰皿や窓枠なども当時の姿を留めています。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」 耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

どっしりとしたソファは、これまた座り心地バツグンで居心地良き。
落ち着いたモダンな雰囲気のせいか、このままタイムスリップしてしまうような、ファンタジーの世界に迷い込んでしまったかのような、なんとも不思議な感覚にしばし浸り、取材中にもかかわらず、もう動きたくなくなって現実逃避するところでした(笑)。
気密性も高く、道路沿いにありながら客室内はとても静か。本を片手に、窓から見えるのどかな風景を一日眺めて、陽が沈むまでぼーっとする、そんな時間の使い方が一番の贅沢なのかもしれません。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

奥には寝室があります。なんとベッドはシモンズ。友だち4人でこの距離感で並んでおしゃべりしながら寝たら、楽しいだろうな~。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」 耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

足元もお見逃しなく。車輪が、線路が! ガラス越しに見えるんです。オシャンな間接照明で照らされています。
オーナーの伊藤さんいわく、電車が好きで来たお客さまは「ベッドではなく床に寝て、一晩中見ていたい」とおっしゃっていたとか(笑)。でも気持ちはわかります。つくりがかっこよくて、そのディティールをずっと眺めていたくなるんですよね。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」 耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

バスルームものぞいてみましょう。
洗面所はゴージャスな雰囲気の大きな鏡、洗面ボウルは日田市の工芸品である小鹿田焼(おんたやき)。こまかいところまで、にくい演出です。客室によってコンセプトが異なるので、それぞれまったく違ったインテリアをチョイスしているそう。
お風呂からは外が眺められます。夜空を仰ぎながらシャンパン片手にのんびり浸かりたい! 妄想は膨らむばかりです。

全部の部屋に泊まらずにはいられない!

オープンから半年で、すでに3回も泊まったつわものがいるというのも納得。意外にも女子人気も高く、女性グループでの宿泊も多いとのこと。鉄道のホテルはいろんな層から注目を浴びています。

「耶馬渓の社」だけで終始感嘆の声が漏れっぱなしだったわけですが、せっかくなので、もう2つの客室も、ダイジェストでどうぞ!

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」 耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

「国東の社」には、国東鉄道の時代に最後に走っていた車両「キハ602しおかぜ」があります。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」 耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

国東半島の六郷満山に残る岩屋をイメージしているので、奥に行くにつれ少しずつ狭くなるつくりに。ベッドルームは松明が焚かれたような照明が。畳には国東七島藺(しちとうい)が使われています。

「青の社」は、中津市の青の洞門をイメージ。「キハ102かわせみ」の車両に、洞窟の神秘的なイメージが盛り込まれています。この車両には前後に運転席が付いていました。全体的にシックで大人の雰囲気漂う、別荘のような佇まいです。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」 耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

客室の全てにおいて地域のアイデンティティを落とし込んだ強いこだわりが随所に感じられ、自称、国東半島マニアの私には一つ一つがささりまくり。コンセプトに2年頭を悩ませたオーナーのふるさとへの熱い思いがひしひしと伝わってきました。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」 耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

幻想的な夜の雰囲気も◎。これは泊まらなければ味わえません。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

宿泊プランによってお料理の種類も選べます。大分県北・国東半島の山海の幸や地元でとれた季節の野菜をふんだんに盛り込んだ会席、オーナーが手掛ける和洋幅広いメニューも人気です♪

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」 耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

ランチでの利用もできます! レストランも車両が客席になっていて、列車の中で食べている気分が楽しめますよ。中津からあげや手作りデミソースが自慢のハヤシライスなど、メニューもそろいます。

耶馬渓鉄道の車両に泊まって「やばけい遊覧」

千年ロマンのストーリーが息づく“鉄道のホテル”は、なんともモダンでノスタルジック。この場所に身を置くだけで物語の1ページをめくるようなひとときが味わえます。なんとも贅沢な非日常を体感できる、きっと一生の思い出に残る時間になることでしょう。
耶馬渓鉄道の記憶をたどる「やばけい遊覧」の旅にぜひ出かけてみませんか。

鉄道のホテル 汽車ポッポ「別邸」
住所:〒871-0025
大分県中津市万田500-1
TEL:0979-22-0275
営業時間:チェックイン15:00~、チェックアウト10:00
汽車ポッポ食堂、汽車ポッポ民宿もあります。
https://kisyapoppo.com

WRITER

  • 牧 亜希子
  • 牧 亜希子記事一覧

    planner/writer。特に大分県の観光情報が得意な自称「勝手に大分県の魅力案内人」。友人からのリクエストで旅行プランを立て、アテンドすることも。 特技/取材や撮影に行くことが多いにもかかわらず、「超」が付くほどの雨女。私の行き先ではかなりの確率で降らせます。取材先の皆様、ご了承くださいませ。

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