
おおいたではたらく
2022年07月15日
みんなの夢の力で育てるツリーハウスサウナ
青トンカチ代表
子どものころ、秘密基地を作った経験やアニメやマンガに出てくる「ツリーハウス」に憧れはありませんでしたか?大人になった私たちでも、みんな昔は子どもだったんですよね。
今回は、成長していくにつれて忘れていた遊び心や、お金で買えない価値のあるものを思い出させてくれる場所を作ろう、と立ち上がった素敵なせんぱいにお話をお聞きしました。
お邪魔したのは、こちら!!
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青トンカチ
新型コロナウイルスの影響で人と会う機会が減り、自宅に閉じこもりがちだった大学生を集めて、由布市湯布院川西の山でツリーハウス式サウナを建設。主に地域の方にもらった廃材を利用し、機械を使わずに人の手で作り上げました。現在は50名ほどのメンバーが所属していて、今後の活動にも大注目の団体です。
お話を伺ったのはこちらのお二人。
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- お名前
- 山本 理一郎
- 出身地
- 兵庫県三田市
- 出身学部
- ロンドン芸術大学 建築学部
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- お名前
- 梅田 嵩哉
- 出身地
- 福岡県北九州市
- 出身学部
- 大分大学 理工学部建築学コース
出会いは会場設営のボランティア
東京の建築設計事務所で働いていた山本さんと、大学の「ツリーハウスサークル」で部長を務めていた梅田さんが出会ったのは、2020年にOPAM(大分県立美術館)で開催された企画展でした。
会場設営を任されていた山本さんと、ボランティアスタッフとして参加した梅田さん。
無事に企画展が終わり、打ち上げの席でメンバーの誰かが「大分の山が50万円で買えるらしい」とポツリ。これに目を輝かせた山本さん。ふと山本さんが梅田さんの方を見ると、梅田さんも目がキランと輝いたんだそうです!
『これは何か一緒にできるんじゃないか!?』と、意気投合した2人は、早速その日のうちに行動を開始。翌日には東京に戻らなければならなかった山本さんですが、仮眠をしてすぐに山を見に行ったそう。
「その時見に行った山は別の所なんですけど、梅田がいろいろ調べてくれてこの由布市の山を見つけたんですよ」と、山本さんは当時のことを語ってくれました。
それから度々大分を訪れていたという山本さんでしたが、しばらくして建築設計事務所を退職し、本格的に大分で暮らすことに。理由はもちろん、梅田さんと『何か』を作るため!
その『何か』がツリーハウス式サウナなんですね。
クラウドファンディングで資金を募り、目標の30万円を一週間で達成。最終的には40万円台になったそう。

その後、口コミで集まった大学生が中心となってツリーハウス式サウナ作りがスタートしました。
自分達の居場所を作っていく
2021年、まず最初に取りかかったのは倉庫。
竹で作りたいというメンバーの意見を取り入れ、倉庫を作り上げました。

それから徐々にメンバーが増え始め、「ツリーハウス設計」「サウナ設計」のグループに分かれてプロジェクトが始動。

この見事なツリーハウス式サウナ、実は全て人の手だけで作られているんです。
山本「木の上にあるので、僕が今までやってきた設計とは全く違って、数字で出せないところだらけ。最終的には現場で調整することが多かったですね」。
始動したときは木材を購入していたということですが、ウッドショックの影響があり値段が3倍に。そのため、一部を除いて材料はほぼ廃材を使っているそうです。
特に苦労したところは、屋根。「ロープで吊られながら板を貼りました」と梅田さん。

梅田「機械を入れてしまえば早いし、効率もいい。でも、それが労働になってしまったら面白くないじゃないですか。スコップ1個でも持ってひたすら掘っていくみたいに、どんどん自分達の居場所を作っていくような感覚ですかね。みんなで青トンカチの物語を作り上げるような。それを楽しむのはすごく体力が必要だし無駄のように思えるんですけど、とても重要なことだろうなって思います」。
意識していたのは3T
現在は50人ほどにもなったという青トンカチのメンバーと接するとき、梅田さんが常に意識していたことがあったそう。
楽しい・達成感・為になる
この3つの頭文字を取って、3Tと呼んでいたといいます。
梅田「この3つのどれかに当てはまることがあれば、学生は来てくれるんじゃないかなって思ったんです。当時、僕も学生だったので。僕だったら参加するなぁ~っていう感じで。会社の社訓ってあるじゃないですか、あんなイメージですね。難しいものじゃなくていい、わかりやすくシンプルに」。
サウナを作るきかっけは?
サウナを作ろうと思ったのは、「サウナのまち」豊後大野市に行った時。すでにツリーハウスは完成していましたが、それだけで運営をすることは難しいんじゃないかと考えていたときに、豊後大野のサウナからヒントを得て、“ツリーハウスの1番上から見る景色を楽しむためのサウナ”を作ろうと動き出したそうです。
“景色を楽しむためのサウナ・・・?”
どういうことだろう、と思いますよね。
2階建てになっている、ツリーハウスの1階部分は外気浴のできるスペース。サウナから出て一時的に身体を冷やす場所です。2階はというと、由布岳が一望できる「最上級の”ととのい”スペース」になっています。
畳があるので、ゴロンと横になって過ごすのがおすすめなんだそうですよ。

サウナ内部
このサウナも全て手作りです。サウナストーンに水をかけて蒸気を楽しむ、フィンランド式のロウリュウもできます。また、入り口にある窓を完全に塞ぐと中は真っ暗に!視覚をシャットダウンすることで、外に出たときに気持ちよさが倍増するんだとか。

ツリーハウス(上)「最上級のととのいスペース」

ツリーハウス下(下)「外気浴スペース」

ゆっくり景色を眺めることのできる、おしゃれなベンチも手作り!
ツリーハウスから徒歩20秒ほどの場所にあります。
新たなコミュニティを作っていきたい
山本「今後は、土地の魅力を開放できるような場所を目指しています。例をあげるとすれば、別府の秘湯『鶴の湯』ですかね。そこの場所が好きな人たちが集まって、コミュニティができる。そこには管理者がいるわけでもないのに、ちゃんと秩序は守られている。そんな形が理想です。これからツリーハウスを増やしていくかは未定ですが、こういった活動が増えていったらいいなと思っています」。

青トンカチの活動について、もっと知りたい・応援したいという方は青トンカチのホームページ及びInstagramをご覧下さい。
学生のみなさんへ
僕らのように、未来を自分達で作っている人はたくさんいるので、自分で切り開く道もあるんだよということが伝われば嬉しいです。
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青トンカチ
WRITER
- 日名子 真衣記事一覧
猫とパンを愛してやまないママライター。食べ歩きと写真を撮ることが趣味です!美味しいものを探して、相棒のカメラと一緒に大分県内を旅します。将来の夢は、縁側のある家で猫とのんびり暮らすこと。